Takahiro Izutani

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イヤホンを変えてみました。

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先日、普段使用しているイヤホンをEtymotic ER4Sから、昨年同社が11年ぶりに新しくフラッグシップとして販売開始したER4SRに変えてみました。イヤホンに関しては以前に二子玉川の蔦屋家電の視聴コーナーでほとんどの製品を試してみても自分にとっては荒々しすぎる音のものしかなく、EtymoticかSonyのMDR-EX800ST以外の選択肢は考えられなかったのですが、MDR-EX800STはすでに普段から使用している定番スタジオヘッドフォンのMDR-CD900STと同傾向ということで、最終的には今回もエティモを選んでみました。ER4SとER4SRは似たような製品名にもかかわらず音の印象としてはかなり異なります。個々の楽器の定位と奥行きをハッキリと把握できながらも極めてクールで地味、録音された音をただただ測定器の様にシンプルに再現していたER4Sに比べてER4SRはグッと前にせりでた音で広がりもあり、ちょっとしたバウンシーで躍動的な色付けすらも感じるという、いわゆる「カッコいい洋楽のミックス」の音になります。普段音楽を楽しむなら断然ER4SRかなと思いますが、全く色付けのないリファレンス用に使えるイヤホンとしてER4Sの価値もさらに高まったと思います。


Ecovanavoceとのコラボレーション

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Dugo / Lingua Francaではイタリアの古楽器奏者アーティストEcovanavoceとも2曲コラボレートしています。彼らとの共同制作は以前にもブログで紹介したことがありますが。今回のDugoのアルバムに収録されたのはそのうちの1曲と、もう1曲はDugoの旧曲を彼らとリアレンジして新しい曲として再構築したものです。

Ecovanavoceというのはいわゆる回文の造語で、彼らいわく古代と現代、西洋と東洋など全く異なる文化の接点になるような音楽性を模索していくプロジェクトだとのことです。ゆえに今では現存しないイタリア及び地中海周辺の古楽器をリイシューし、コンセプトはそのままに現代の楽器として生まれ変わらせ、音楽スタイルも伝統的なスタイルを踏襲しつつ現代的なサウンドアプローチで再現することを目的としています。モダンな音楽を志向する日本人でありながらも欧州の伝統的な音楽への強い興味を持つ自分とは実に波長が合う関係で、彼らにしてみたらまさに自分は彼らの足りないピースにピタッとはまる存在だったのかも知れません。彼らとはLingua Francaの完成後も地道に共同制作を続けており、今年はその成果がイタリアのかなりメジャーなフィールドで形にできるという勝負どころの段階になってきています。彼らとの最初の接点はSoundcouldでしたが、そんなネット上のただの偶然によって生まれた関係性が後々にお互いのキャリアに大きく影響していく時代なんですね。




Sol Ponienteのコラボレイター

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ソロアルバム、Dugo / Lingua Francaは数人のアーティストとのコラボレート、というより彼らがある意味、自分の尻を押してくれたことによって結実した作品なんです。Sol Ponienteという曲でテーマのヴァイオリンを弾いてくれたMonicaは、元はと言えばLanguage Exchangeのウェブサイトから自分のプロフィールに興味をもって連絡してきてくれたという僕の英語の先生ですw まず最初に彼女が言ったのは「あなたがハイレベルな英語学習をしたいのなら、どんな英語教師よりも私が最適よ。なぜなら私は幼児の時からのbibliophage(読書狂)だから」ということでしたw また家族兄弟のうち7人がミュージシャンという彼女は2歳からヴァイオリンを始め現在はオーケストラ、チェンバーアンサンブルからジャズまで、カナダとアメリカを中心に幅広く活動をしています。

彼女は自分への英語のレッスンでは、例えばまず全く違うジャンルの好きな曲を5曲あげさせてそのどこが好きなのかを説明させ、かつその5曲に共通する要素をあげて説明させるという様な、なかなか自分のレベルでは難しい出題形式で訓練してくれました。ですがSkypeを通じて互いに呑みながらの雑談ではお互いの学生時代のバカ話などで盛り上がり、そのうち自然に一緒に1曲作ろうということになったのでした。彼女の人物像に対して持っている自分のイメージをテーマのメロディで具現化した曲、それがSol Ponienteという曲です。これはスペイン語ですが、英語だとSetting Sun、日本語だと「暮れゆく太陽」という意味です。

モニタリング環境をアップデート。

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Dugoのアルバム制作が遅れながらもようやく終盤にさしかかってきたので、ここでより正確なミックスチェックの環境を作ってみたいと思いメインのモニタースピーカーとして新たにBarefoot Sound Micromain 27を、サブとしてKSdigital C5-Coaxを導入してみました。自分でミックスまでやって完結するプロジェクトの場合にいつも悩みになっていたのが低音の処理でした。散々綿密にチェックしたつもりでもマスタリングスタジオにいって確認すると自宅スタジオでは見つけられなかった低音のピークがわかったりすることがあったからです。ラージモニターでないと把握できないような低音域の状況を、ミッドフィールドクラスなのにもかかわらずこのBarefootのスピーカーではかなり正確にチェックできます。しかもかなり小さな音量で聴いても帯域のバランスが変わらないので作業スペースの防音や吸音をさほど気にしなくても十分その機能の恩恵が受けられるのが素晴らしいです。

新しいモニター環境になったので慣れるために色々な曲をリファレンスで聴いてみましたが、今までに何百回ときいてきたような曲でも全く異なる印象に変わるものもありました。うまく説明できないんですが一般的なモニタースピーカーの上位互換として機能するチェックマシンの様な感じです。本質的にバランスの良いミックスのものは以前と同じ様に聴けるんですが、突出した部分があったりバランスのおかしいものに関してはそれまでは気が付かなかった問題点をハッキリと提示してくれます。それと30hz近辺の帯域で何が起こっているのかは一般的なニアフィールドのモニターではほとんど確認できてないんだなということが良くわかりました。また色々な曲をリファレンスで聴いているとその辺りの超低域でミックスの工夫を凝らしている曲は全体としても素晴らしいミックスになっている曲がとても多いです。特に最近気に入っているAdele「25」とJustin Bieber「Purpose」 は音の全体像の作り方のアイデアとテクニックの素晴らしさを確認でき、あらためて得られるものが多々ありました。この2枚はまさに「2016年の最新の音」と言うにふさわしい驚異的な作品だと思います。(リリースされたのは去年でしたっけ?)

また今回DAコンバータのLavry DA11からのケーブルもいくつか試してみた後に今まで使用していたBelden 8412から今回はGotham GAC-4/1にしてみました。これまではさほど気になっていなかったケーブルごとの音質の差も今はかなりはっきりとわかってしまいます。様々な楽曲をリファレンスする際に8412ではかなり下の帯域で突然持ち上がるピークがあってそこだけが分離したように聞こえてしまうということがありました。以前にギターのケーブルで試した際にもこの感じが肌にあわずに止めたことがあります。Gothamケーブルだとローミッドからサブベースまでが素直に繋がっているように聞こえます。

KSdigitalの方は迷った時の確認用のサブとしての用途です。長いこと同軸のTannoy Precisionををメインにしてきたので、同軸のニアフィールドで比較的新しい製品の中からこれを選んでみました。こちらもスピーカーのサイズの割にはかなりワイドレンジで奥行きもよく見えます。Barefootで大きな全体像を確認してKSDigitalでもっと近寄った状況での音像を確認する感じです。ただこちらはなぜか電源を入れてからしばらくは低音の出方が暴れて落ち着かないのでちょっとまだ戸惑っていますw まだまだどちらとも設置の仕方から試行錯誤中ですが今のところとてもいい感触がつかめています

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スピーカー両サイドにサブウーファーがあり、全部で5ドライブユニットという個性的なコンセプトです


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スピーカー口径5インチながらかなりワイドレンジです。


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両機種とも国内電圧向けのローカライズがされていないので117vに変換するステップアップトランスのCSE ST-500もついでに組み込んでみました。


Barefoot Sound's Masters Of The Craft

ヨーロッパ・ツアー 3 FreakShow ヴュルツブルク

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ツアー最終日はドイツのヴュルツブルクに移動してFreakShow Artrock Festivalに出演です。今回のヴェニューはサッカー場に併設されたホールを借りきって使っているので広めの会議室が楽屋になっており、そこから食堂と客席、ステージのまわりにかけて常にオーディエンスがウロウロしてる中でのサウンドチェック。で、用意ができたら即演奏という超ラフなスタイル。機材のセッティングをしながらも話しかけてくるお客さんと世間話したりというなかなか経験できない状況でしたw 今回のツアーを通じて全ての会場がいわゆる営利目的の常設されたものがひとつもなく、イベンター、オーガナイザーのDIYの精神が強く反映されたものばかりなのはとても印象深かったです。また今回のFreakshowはいわゆるフェスとしてはとても小さい規模で、かつオーガナイザー、アクト、オーディエンスが全く対等な立場で接する場になっており、それぞれの立場の人達がみな少しづつ協力し、少しづつ責任を果たしながら全員が少しの利益と大きな喜びを得られる場にしようとしているのがとても素晴らしいと思いました。

今回は僕ら以外は全てヨーロッパ出身のアーティストでしたが、先週のRIOからそのまま移動してきたバンドや、メンバーが入れ替わった別ユニットとしてRIOから移動してきた人もいました。アヴァンロック、プログレのマーケットは世界中にあるとはいえ当然とても小さいものです、しかしながら世界各国に猛烈にマニアックかつ熱狂的なファンの方々がおり、彼らがネットワークを作り遠隔ながらも強固なコミュニティを形成することでアーティストが持続的に活動することを可能にしているんです。これだけCDのマーケットが縮小するなか。今回のたった3回のHFのライブではCDもTシャツも飛ぶように売れており、かつ多くのファンがCDにサインを求めてきてくれました。また「アナログは作らないのか?」というのも何回も聞かれました。

HFが所属するアメリカのCuneiform Recordsは設立から30年、アヴァンギャルド系の音楽ばかり数百タイトルをリリースして今なお安定したセールスを保っているのはこうした強固なネットワークとコミュニティのお陰なんだろうと身を持って知ることができました。それともうひとつ日本の状況と違うのは芸術活動に対する政府からの助成金です。イタリアなどではどんどんカットされる方向にあるそうなのですが、まだドイツ、フランスでは大きなサポート力があるようです。その代わりに著作権管理団体の影響力もかなり強いらしく今回行ったすべての会場でフランスSACEM、ドイツGEMAにそれぞれ全ての演奏曲と作曲者を報告する提出書を作成しました。また売り上げにかかる源泉徴収率も日本よりも遥かに高いようでした。

総括して日本の状況と最も違うと思ったのはバランスのとれた成熟さというところでしょうか。日本のライブシーンはまだまだ若い感覚で動いているシーンで「こういう形でなければダメなんだ」という真面目さが良くも悪くも強いのかなと思いました。もう到底若いとは言えない自分にとってはヨーロッパのシーンはちょっと居心地の良いシーンかも知れないと思えましたw
真ん中がオーガナイザーのチャーリーさん。60過ぎの超ファンキーなオッサンでしたw

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ヴュルツブルクの旧市街は今まで行ったことのあるヨーロッパの街の中でも屈指の美しさ。戦争でほとんど崩壊した街並みを後にそっくりそのままに再現したんだそうです。

ヨーロッパ・ツアー 2 Kafe Kult ミュンヘン

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前回のRIOのあと一旦パリに行き観光や別件の仕事のミーティングを済ませた後に2発目のショーはドイツのミュンヘン、前回とはうってかわってアンダーグラウンド感満点のハコKafe Kultにて。元々この区域一帯はドイツ空軍の病院施設だったところで、そこが開放されてからアーティストやミュージシャンなどが集まるコミューンのような形で人が多く集まる場所になっていったんだそうです。以前ベルリンに行った時のブログで変電所を居抜きで改築したクラブの事を書きましたが、ドイツでは旧東ドイツ時代の施設を利用したヴェニューやギャラリーがとても多いです。Kafe Kult以外にもこの周辺の広い敷地内には何棟かの建物があり、普通に住んでいる方もおられるようでした。オーナーのハーバートさんとは渡欧前に打ち合わせをしたかったのですがネット完全NGな人ということで常に間に人を介しての連絡だったということもあり、筋金入りのヒッピーを想像していたのですが、お会いして色々話していると実に落ち着いた知的な人物で、しかしながら筋金入りの鬼畜系音楽マニアではありました。ハーバートさんは大学ではコンピューター理論を専攻し、かつてはコンピューターの技術系の仕事をされていたそうなのですが、ある日全てを変えたくなりここに居を構えてネット圏外での生活を選ぶことにしたんだそうです。今ではKafe Kultのサイト宛にくるメールも3ヶ月に一度程度しか開かないそうですw

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この日はHFと地元ミュンヘンのテクニカルフュージョンバンド7for4の2アクト。ありがたい事に前回のフランスのRIOフェスティバルからそのままミュンヘンにも僕らを見に来られた方も何人かおられました。

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ハーバートさん、ドラマーナガセ、お名前を失念したイタリア人スタッフの方。

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膨大なジャンルのコレクションがありましたが、なぜか僕には70sのダークアンビエントとサイケの中間みたいのばかりを薦められましたw

Kafe Kult - putting munich back on the map since '99 from mpeG on Vimeo.

ライブ終了後はハーバートさんやお店のスタッフ、常連さんと飲んでマニアックな音楽談義。次の朝も車で市内を少し案内してもらいました。
ミュンヘン中央駅周辺は多人種のるつぼ、例の難民の仮宿泊施設や駅前に陣取る報道関係者などもいてザワザワしていましたが、少し中心部から離れると素晴らしく美しく整然としたヨーロッパの街並みが保たれていました。

つづく

ヨーロッパ・ツアー 1 Rock In Opposition


Happy Family初の海外ショートツアーの一日目はRock In Opposition Festival。フランスのトゥールーズから車でぶっ飛ばして1時間半ほど。アルビとカルモーという街の中間くらいの位置に特設会場と宿泊施設がありました。この場所は鉱山の施設として使われていたそうなのですが、主催者のMichel Bessetさんは二十年ほど前に付近一帯を買い取り、コンサート施設、アスレチックレジャー施設として改装して運営されているそうです。このフェスではアヴァンギャルド系のアーティストばかりがアメリカ、スウェーデン、フランス、ベルギーなど様々な国から集まっていました。お客さんの方も各国から来られてる方が多く、直接話しをしたひとだけでもスペイン、ドイツ、メキシコ、モロッコ、アメリカ、ロシア、チェコなど様々な方がおられました。HFの出演は三日間のプログラムの中で三日目の夕方、機材チェックとサウンドチェックを一時間ほど念入りに行ったあと30分後に一時間のステージをこなしました。ステージ上のモニタリングのし易さとオーディエンスの反応の良さなどもありここ一年ではベストとも言えるライブができました。ライブ後にはプレスカンファレンスも行い、約20人ほどの取材の方を前に活動状況や今後の展望、日本のプログレッシブ・ロック、アヴァンギャルドロックのシーンについて説明させていただきました。今回は演奏すること以上にお客さんやスタッフ、共演者の方々との交流がとても新鮮かつ有意義で、日本のアーティストとしてどういうアティチュードで活動しているのか、日本には他にどんなアーティストがいるのかなども聞かれましたが、このツアーを通じてどの街にいっても必ず日本の政治的な状況、それも原子力行政のことについて聞いてくる人が何人かいました。このRIOの会場では特に質問されることが多く、物販をしている時にあるフランスの老夫婦から質問された際には僕が答えて説明しているうちに周りから興味を持った方が集まってきて、いつの間にか十数人を目の前に演説している様な状況になっていました。昨年Michel Bessetさんが日本に来られた時に「ライブの際に政治について話すことはフランスではごく普通のことだよ」と言われていたことを思い出しました。ヨーロッパではアヴァンギャルドで反商業主義的な音楽家の活動というのは政治的なアティチュードと不可分なんですね。原子力行政の質問をされる際には毎回、日本のエネルギー安全保障、産業コスト、核技術の兵器への技術転用の可能性による軍事的抑止効果、あとはメタンハイドレートなど新資源の可能性について説明しました。質問してきた方の多くは即座に全てを止めるべきという僕とは異なる意見の方だったのですが、それでも日本人と直接意見交換ができたと感謝の言葉をいただきました。全てにおいてヨーロッパの社会、人々の成熟ぶりをズッシリと感じる日でした。


不安だったプレスカンファレンスも何とかこなせました。英語で質問され英語で回答、それをまた司会の方がフランス語に翻訳してアナウンスするという形式でした。

つづく

TOKYO FESTIVAL of MODULARに行ってきました。

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先日のDugoのパーティの際に久しぶりにお会いできたシンセサイザープログラマー、プロデューサーの中山信彦さんから、最近モジュラーシンセサイザーの人気がとても高まっているという話をうかがいました。中山さん自身も電子海面というモジュラーシンセザーザーのみを使って即興的なセッションのライブを行うというユニットで活動されているとのことです。そんなおり、唐突にモジュラーシンセの見本市の様なイベントが行われるということを知り、西麻布のSuper Deluxeに行ってきました。

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DSC02479.JPGDSC02464.JPG クリックで拡大します。

出展ブースにいるのもお客さんも半分は外国人でした。不慣れながらも展示されているシンセをいじっていると操作法や仕組みを親切丁寧に解説してくれました。

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これは右下の回路基板の部分を触るとノイズを加えられるおもしろいタイプでした。しかも基板別にノイズを加える周波数帯域が分かれているという。


CeVIN KEY(SKINNY PUPPY)+ DJOTOのライブ。モジュラー度はほとんどないですが、ライブはとてもよかったです。DJ OTOはRenoiseという比較的最近リリースされたDAWをつかっていました。CeVIN KEYの方はわからず。四種類のオーディオファイルを同時に読み込んで同期させているようでした。


DenshiKaimen Vol.4 "Cluster"
電子海面のライブ。むちゃくちゃクール!

Dugo @AMPcafe Tokyo 09.05.2015

あけましておめでとうございます 2015

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おくればせながら新年のご挨拶になります。昨年はひたすら、再開したバンドのアルバム制作とそれにまつわる事務的な業務と交渉ごとに終始する年になりました。なぜこの期に及んでまだバンド活動などしているのか?自分でも時々不思議に思っていたのですが、一枚アルバムを形にして世に出してようやく気付いたのは「もし今の自分のスキルで、かつて志半ばで挫折したバンド活動を試したらどこまでできるか」という好奇心が自分を動かしていたということです。

自分は最初から職業音楽家をめざしていたわけではなく、ただ漠然と自分の好きな音を作りながら細々と生きていけたらいいとだけ思っていました。そしてどの社会にもうまく適合できなかったからという理由で必死に音楽を作って生き延びているだけの人間です。そしていま、ありがたくも多くの方から頻繁に仕事をいただけているおかげでこんなに自由きままな音楽活動もできる状況にいます。

昨年の具体的な成果として、かつて20代の時に夢見ていたヨーロッパでのライブツアーが今年できることになり、若き日の夢の再現はこれでひとつの帰結をむかえることになります。バンドの活動に関してはこのツアーの後に新たにどういった方向に向かうべきかを決断することになります。

仕事に関しては「どうにか踏みとどまった」という状況です。ですが昨年は多くの新たなビジネスパートナーとも知り合うことができ今年への希望をつなぐことができました。

そして今年はいまさらながら決定的に自分に足りないスキルをいくつか克服したいと考えています。最近本当に痛切に思うのですが、この歳になってもまだ学習しなくてはならないことが多く、また幸か不幸か今それができる状況にあることに呆れながらも心から感謝しています。

この時代に音楽を作る仕事で生き残っていくことはとてつもなく困難なことで、まだまだ自分にはサバイバルするためのツールが不足しています。いままだこのありがたい状況が保てているうちに今年はスキルアップの年にしようと考えています。

皆様本年もなにとぞよろしくお願い致します。

イズタニタカヒロ

MacPro乗り換え日記

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先日のMacPro購入から少しづつ旧システムからの引っ越しに向けた作業を続けていました。まずはUAD-2のプラグインシステムを旧来のPCI-eボードのシステムからUAD Satellite Thunderboltへ移行することから。新MacProに移行する際に一番厄介だったのがこのUAD-2に関することで、このSatellite Thunderboltがリリースされる前は今までのUADシステムを新MacProに接続するにはThunderboltポート経由でエクスパンションシャーシを取り付けねばならず、さらにはそのシャーシと互換性のあるのがUADの中でもフラッグシップ機のUAD Octo Coreのみだったので、このシステムに新調するだけでMacPro本体が買えるくらいの出費がかさむ状況でした。このUAD Satellite Thunderboltがリリースされたことでようやく取ってつけたような建て増し感もなく、少ない出費でUADプラグインのシステムを移行する状況ができました。

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新MacProのポートはUSB3が4つ、Thunderboltが6つ、Ethernet2つ、HDMIがひとつです。これだけのポートに外付けのドライブやディスプレイやキーボード等全てを繋げなければならず、実は結構工夫が必要でした。まずUSBポートにはキーボードとiLokなどのドングルのハブ、そして外付けの光学ディスクドライブを繋ぐ必要があります。いまの自分の状況だとUSB3を使った外付けのHDDも使う必要があり結局は状況に応じてケーブルを抜き差ししなければなりません。このポートの数の設定は暗に「外付けに関しては全てThunderbolt経由でRAIDを組んで使うべし」と言われている様なもので、自分も今後はそうしていかざるを得ないと思います。しかしながら現時点でThunderboltで巨大なRAIDシステムを組むのはこれもまた結構な出費になり、こういうところが新MacPro移行に関しての大きなハードルになっているところでもあります。今回は外付けにひとつだけThunderbolt接続でSSDケースを使って音源庫として使うことにしましたが、Thunderbolt+SSD+MacProのスピードはやはり半端ないすごさです。今までは曲の中で使うのをためらいがちだったCine SamplesやLASSなどのオーケストラ音源のMulti Setも躊躇なく立ち上げることができそうです。

それと今回はハードだけでなくMacOSXに関してもほぼ5年ぶりにメインの音楽制作のシステムとしては移行することになりました。2009年のSnow Leopard以降にリリースされたOSXは音楽制作という点に関してはプラスに作用する事が何もなく、ただ扱いにくくただメモリを無駄に消費するだけの厄介者だったのでアップグレードすることができませんでした。ですが新MacProではMavericks以降のOSで動かすことが必須なので、これも5年ぶりの新調ということになります。色々な検証と各ソフトやプラグインの動作チェックをしつつ移行して今のところは大きな違和感がなく作業できていますが、新MacPro上においてもオペレートの際に多少の体感上のモッサリ感があります。これはもう受け入れるしかありません。

実際に使ってみておもしろいなと思ったのは新MacProの放熱についてなんですが、この円筒上の形態の上の部分からまさに煙突の様に温かい風が吹き出ていてここから放熱しているんです。最初に上からふわ~っとした熱気を感じた時になんとも可笑しい気分になってしまいました。ハイテクなんだかローテクなんだかよくわからないこの仕組みにやけに愛着が沸いてしまいますw
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小さい植木鉢用の棚におさめてみましたw

Rock In Opposition Japan 二日目

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前回の続きでRock In Opposition Japanの二日目のレポートです。

Aranis
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全員アコースティックの室内楽の編成で変拍子の暗く不穏な曲を演奏するバンドです。ロックのテイストはほとんどないですが、プログレのテイストはものすごく強かったです。あとメンバーの女性率が高く、またルックスも良く、さらには今回のフェスでバンドの平均年齢も一番若かったのではないでしょうか。個人的に気になったのはHappy Familyが以前カバーしてCuneiform Recordsのオムニバスアルバムに提供したDeniel Denis氏の楽曲「 Bulgarian Flying Spirit Dances」を彼らがカバー演奏していたことです。僕らのはもろにロックのアプローチだったんですが、本来の室内楽編成のアレンジでのライブが見られたのはとても良かったです。

Happy Family
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いよいよ自分たちの出番。ここまでオーディエンスとして見てきて少し自分たちが場違いのロック野郎どもということがわかってしまったので少しナーバス気味でしたが、まあ始まってしまえばなんとかなるもので、いつもながらのザックリとした演奏でフェスに彩りをそえられたんではなかろうかと思います。

SOLA Lars Hollmer's Global Home Project
このSOLAさんだけ自分たちの演奏後にバタバタしてしまって全く見られませんでした!

Mats/Morgan Band
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このバンドも本当に楽しみにしていました。ドラムのMorgan Agrenさんと鍵盤のMats Obergさんは少年時代からずっと共に演奏してきたコンビで、サポートミュージシャンとして鍵盤とギター担当のStefan Järnståhlさんと、さらにはベーシストは元MeshuggahのGustaf Hielmさんでした。彼らの最新アルバムSchack Tatíは完璧にタイトな演奏をコンピュータ内でエディットや加工を加えてさらに高次元のオリジナルな音楽に昇華させたものなので、これがライブでどうなるのかとても楽しみでしたが、ほとんど原曲のイメージのまま超人的なテクニックの演奏で魅せるタイプの演出だったので期待を超える部分と期待はずれの部分が半々という感じでした。とはいうもののあり得ないほどの難易度の高い楽曲を全くそうとは感じさせずに彼らの世界観に引き込む演奏は本当に素晴らしかったです。鍵盤のMatsさんは恐らく全盲なのだと思われますが、楽屋でも常にMorganさんが手を引いてあげてサポートしていました。本当に仲の良い幼なじみなんでしょう。そういうところから始まってこの奇跡的なサウンドが完成しているのかと思うとまた感慨もひとしおでした。

Present
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おそらくこの日のオーディエンスの大半はこのバンドのライブを見たさに来られた方だったのではないでしょうか。このPresentも70年代から活動している伝説的なカリスマRoger Trigaux (ロジェ・トリゴー)を中心に活動を続けているグループです。先述のAranisにも影響を与えているという本当に独特の音楽性でした。以前、というかもう10年以上前に当時大変お世話になっていたとあるプログレマニアの方と「真のプログレとはなんぞや?」という話になった時に、「暗く、重く、冷たく、そして長い!」のが定義であり、それを象徴するのが後期King CrimsonとPresentだ!という含蓄のある言葉をいただいたことがあり、今もなおその言葉が深く胸に刻まれています。この日はそんなPresentと対バンでライブを生で見ることができるという貴重な機会でした。ロジェさんは足を悪くされているのかずっと車椅子での移動で、楽屋でもずっとケータリングのところにとどまって穏やかな表情で出番までずっとタバコを吸われていました。
そして演奏中は鍵盤を弾かれていましたが、具体的なアンサンブルに貢献するというよりもステージにいることでライブ全体の気をコントロールするというような役割に近かったと思います。Presentのライブはまさに「暗く、重く、冷たく、そして長い!」というものであり、普段は長く冗長な音楽にすぐ飽きてしまう自分がなぜかPresentのライブでは、ロジェさんの気に引き込まれる様にその重苦しい空気に魅了されてしまいました。これこそがライブのマジックなんだと思います。他のお客さんを見てもみんなこの重苦しい演奏にノリノリでした。プログレに疎い自分からするとGodspeed You! Black Emperorにちょっと近いんではないかと思いました。
終演後は会場は大喝采でスタンディングオベーション。二日間色々な個性的なアーティストが出演しましたが、Presentの音楽は不思議と他のどのアーティストの音楽性をも内包し、それでいてどれとも類似性がないという様な本当に稀有なオリジナリティだったと思います。

ところで、初日にはフランスで毎年開催されている本家のRock In Oppositionに来年は我々Happy Familyが参加することがオーガナイザーのMichel Bessetさんからアナウンスされました。来年に向けてまたひとつ大きな楽しみができました。
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Rock In Opposition Japan 初日

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先週は以前お伝えしたRock In Opposition Japanというロックフェスで演奏してきました。二日間にわたって世界各国の多彩なアーティストの演奏が楽しめるイベントで、出演者としてはもちろんですが、オーディエンスとしても楽しみにしていました。自分たちの演奏は二日目でしたがまずは初日のレポートを。

The Artaud Beats
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大ベテラン、イギリスの伝説的なグループHenry Cowのリーダーとして有名なChris Cutlerのドラミングが一番の見所でした。かなりアブストラクトな曲で演奏も恐らくインプロが主体だったと思います。Cutler氏の演奏はドラムと言うよりは何か絵を描いているような動作で、スティックのあらゆる部分を使ってドラムセットのあらゆる部分を叩くというアプローチで、実に多彩を音を出して表現していました。

る*しろう
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日本人アーティストのトリオバンド。ピアノ、ギター、ドラムスというちょっと変わった編成です。事前に抱いていた印象では音量小さめで複雑な楽曲と演奏テクニックを聞かせてくれるバンドかなと思っていたのですが、実際に見ると全然違ってかなり迫力のある演奏でした。お客さんをのせる術もバッチリで大盛り上がりでした。

Richard Pinhas
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70年代後半からフランスで活躍したHeldonというバンドの中心人物で、現在はギターのソロパフォーマンスを中心に活動している方です。ギターのソロパフォーマンスというと最近ではルーパーを使ったひとり多重録音的な演奏がはやっていますが、Pinhas氏の演奏はそれとは違いアンビエント的なものでした。エフェクトもフットペダルをずらっと並べるようなものでなくメインとなっていたのは3Uのデジタルマルチエフェクターでした。自分はプログレのバンドやってますがプログレの文脈にはあまり精通してないので、あえて例えるとすると90年代のMy Bloody ValentineやSeefeelのようなシューゲーザーの進化系に極めて近い音で、これはかなり楽しめました。

高円寺百景
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様々なプロジェクトで活躍するドラマー吉田達也さんが中心となって90年代から活動しているバンドです。90年代当時も数回ライブをみたことがあるのですが、当時とはメンバーも演奏も音楽スタイルもかなり変わっていました。当時よりも洗練されていて、楽曲も完全に独自のスタイルに発展していると思いましたが「これぞプログレ!」と思わせるような部分も随所にあり、しかも演奏はキレッキレの素晴らしさ。70分ほどの演奏でしたが、あっという間に終わったように感じました。

Picchio dal Pozzo
イタリアで70年代から活動しているという、これも大ベテランのバンド。鍵盤が二人、管楽器、ドラムス、パーカッション、ギター、ベース、映像担当という変わった8人編成でした。ギターの人はアンプを使わずにPCに突っ込んでプロセッシングした音をラインで出していました。いわゆるロックっぽいテイストはほとんどなくライトな映画音楽の様な雰囲気です。それと全員が色々と楽器を持ち替えたり、遊び心満載のアイデアを取り入れた演奏でした。映像とのシンクもとてもおもしろく、おそらく日本に到着してから撮影したと思われる寿司屋の内部を撮影した映像を加工したり、曲中にバックでオーケストラの指揮者が指揮をしている映像をマニュアルで演奏に合わせて動かしたり、政治的なメッセージを帯びた映像をシニカルに表現したりと、全てのアプローチが洗練されていてカッコ良かったです。サウンド的にはPenguin Cafe Orchestraのような感じに近いと思いました。映像は今年バルセロナでみたMassive Attackよりもおもしろかったと思います。一番期待していたこのアーティストが予想を超える素晴らしいライブで大満足の一日目でした。

早速オフィシャルのYoutubeチャンネルに当日の映像がアップされてました!カッコイイ!!
 ↓

Cocco-Japan HD   Picchio dal Pozzo official YouTube Channel

ゴミ箱MacProを買いました。(YosemiteからMavericksへのダウングレード)

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メインで制作に使っているMacProを新調しました。今まで使っていたマシンはEarly2009モデルなので約5年ぶりになります。長いこと新しいモデルがでなかったMacProも去年の暮れにようやく斬新なゴミ箱スタイルで登場したのですぐに買おうかと考えていたのですが、全ての環境の互換性を保つには費用がかかり過ぎることでずっと先送りしていました。ところが最近普段から頻繁に使っているプラグインシステム、UAD-2のThunderbolt仕様モデルとなるUAD-2 Satellite Thunderboltが出たことにより一気に移行が現実的でシンプルにできる状況になりました。

で、さっそく待ちに待ったゴミ箱Macを購入してセッティングしてみました。

まず問題になるのはデフォルトでインストールされているOSのYosemiteを消して一つ前のMavericksをインストールしなければならないことです。Yosemiteはまだリリースされたばかりで各ソフト、ハードなどの互換性が確認されておらず、基本動作もそれまでのMacOSXとはかなり異なるからです。そこで問題なのはMacは基本的に購入時にインストールされていたものより前のOSをインストール出来ないことになっている事です。おそらく自分が購入したマシンもYosemiteをインストールした状態で動作確認検証などを行っているはずです。

まずは今までよく行っていたOS復元作業のやり方である、Time MachineというOSXのバックアップシステムから復元するやり方を試してみました。普段、致命的なOSのクラッシュが起こった時にはいつもこのTime Machineを使ったバックアップヴォリュームから戻すことで完全に元に戻せていました。同じやり方でMavericksのバックアップをゴミ箱Macに復元することはできたのですが起動ができません。起動しようとするとディスプレイに禁止のマークが出てきてそれっきりです。

色々と調べて次に試したのは、外部ストレージにMavericksのインストール用イメージを作ってOSをクリーンインストールしてから今までのデータを移行するやりかたです。

OS X YosemiteからダウングレードしてMavericksに戻す方法

これを見て参考にして試してみたところ、今度は無事に今までのシステムを再現できましたが、OSの動作が不安定な上にLogic Pro用にインストールしているプラグインのオーサライゼーションの多くが消えてしまっています。さらにはMac自体の起動も緩慢になってしまいました。

最後に試したのは、旧マシンをターゲットディスクモードで立ち上げ→FirewireケーブルとFirewire-Thunderbolt変換プラグを使ってゴミ箱と接続→ゴミ箱をリカバリーモードで立ち上げた状態からDisk Utilityを使って旧システムのヴォリュームをダイレクトにゴミ箱のストレージに復元するやり方です。

これが見事に大当たりで、復元されたヴォリュームはあっという間に起動し、Logicのオーサライゼーションも全て旧システムと同じ状態。さらにLogic自体の起動もまさに爆速で立ち上がるようになりました。(Iさん何から何までありがとう!)Time Machineを使った復元とDisk Utilityを使った復元では復元されるヴォリューム自体は全く同じだと思っていたのですが完全に同じではないようですね。

ちなみに調子に乗ってSnow LeopardとMountain Lionもこのやり方で立ち上げられるか試してみました。こちらは復元まではできても起動できずでした。

このやり方は最も合理的で、しかも最もシンプルなやり方だと思うのですがなぜか検索しても見つからなかったのでブログに書いてみました。今後ゴミ箱MacProを購入予定の方のお役に立てれば幸いです。

また次回この続きを書こうかと思います。

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電源ケーブルはこんな感じで梱包されてました。

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中身はデス・スター、もしくはハカイダー。

2015/02/16 追記
Time Machineのバックアップからのレストアしたヴォリュームでも一度Macをセーフブートさせると、その後普通に起動できることがわかりました。ただしこのやり方だとDisk UtilityでRepair Disk Permissionをかけるとよくわからないエラーが沢山でるのでやはりダイレクトにレストアするのとでは何かが違っているようです。


Happy Family ライブ 140927 ルンバねこ (Cat Riding On Roomba)

Sonar 2014 by Night

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前回に続き今度はSonar by Nightについて。by Nightの方は夜10時からのスタートで比較的大物系のアーティストのライブから始まり、その後朝までDJがメインのクラブの時間帯になります。会場のバカでかさはby Day以上で会場内の一番大きなベニューだとステージから最後尾まで1kmほどもありました。ざっと調べたら幕張メッセの倍くらいですかね。にも関わらず自分が会場に入った11時ころでもう相当な人で埋まっていました。

ここ数年でヨーロッパのクラブによく行っていますが、どこもものすごくエントランスのセキュリティチェックが厳重で驚きます。今回も三重のチェック体制になっていて、入り口には全部で30人くらいの警備員が立っていました。中にはこのひと元傭兵やマフィアの用心棒なんじゃないかってくらいのゴツいひともいます。普通に暮らしてたらまず見かけないだろうというくらいの風貌です。それとその甲斐あってかさらに毎回驚くのがクラブの中の安全な雰囲気です。みんな酒こそガンガン飲んでいますが、泥酔して吐いている輩はいませんし暴れたり喧嘩になっているような光景も全く見たことがありません。ちょっと休憩できるようなスペースに女の子が一人で大の字になって爆睡しててちょっと危ないなあと思って見てましたが、一時間後にまたそこに戻ってきてもまだガッツリ寝てましたw

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Downliners Sekt
どこかのレビューに「Basic Channelと初期Burialが邂逅を遂げたような深淵さ」と書いてあって、まさにその通りと思いましたが、要はブレイクビーツとダブとエレクトロニカのコンビネーションできかせる自分好みの超カッチョイイ音を作る人達です。まだ無名なようですがとても楽しみにしていました。スタジオ音源に比べると少しブレイクビーツの要素が強いライブでした。曲を構成する個々のサウンドが霞がかかったようにくぐもっているにも関わらず全体としてはとてもソリッドなミックスになっているのが実にうまいと思いました。こういう音作りってすごくセンスが問われるんです。

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Massive Attack
自分がこの手の音楽を聴きだすきっかけ、また自分でコンピュータを使って音楽を作る事のきっかけにもなったアーティストです。それから何年も経ち、ようやくライブを見ることができたので感慨もひとしお。と、思っていたのですがライブ自体の完成度は???という感じ。YouTubeなどでライブ映像を見ていたのである程度は予測できていたのですが、色んな意味でイマイチでした。前回のブログに書いたBonoboなどはスタジオレコーディングの素材を使っていかに有機的な演奏に昇華していくかという事に注力していたのですが、こちらは素材のトラックに生演奏をあてただけという印象でした。しかもあまり演奏が上手とはいえない上に、出音のバランスも良くないという。特に低音の出し方が異常なほどで、ベースやキックの音が特定の周波数になると地面全体が振動して足元からそれが伝わってビヨヨーンと下半身全部が震えるくらいでした。この低音が結構曲を台無しにしていて、名曲Unfinished Sympathyの本来メインで聴かせるべき美しいストリングスサウンドが全部この低音でかき消されてました。

昨今では「mp3をヘッドフォンで聴く」のが主流になり制作者もそのことを配慮して不必要な低音を極力排してミックスする事が多くなっていますが、今回のSonarを見てもライブやDJのサウンドでその傾向が強かったと思います。先述のBonoboはベースをハイフレット中心のメロディ楽器として使い、後で述べるWoodkidはベースレスの編成で(チューバ奏者がいますが)両者とも過剰な低音を排しながらも迫力はキープするオリジナルなバランスのサウンドを作っていました。少し不快とも思えるくらいの低音を足元に感じながら、ついにMassive Attackも時代遅れになってしまったのかなとふと感じてしまいました。

しかしながらバックに流れる映像はとてもセンスがよく、色々なものの数値や文字、企業のロゴなどを次々に映していきながらその流れで政治的社会的なメッセージを表すようなものでした。もしかしたらライブの音作りよりももはやほとんどの興味が映像の方に向いているのかもしれないと思いました。

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Woodkid
全く前情報がなく、アーティストの名前すら知らなかったのですが、偶然ライブ開始時にステージ近くに居合わせたことでフルでライブ体験ができました。映画Inceptionの音楽の様な不穏なブラスサウンドのイントロが始まると、それまで人もまばらだったステージ周辺に急激に人が押し寄せてきてライブがスタートしました。Woodkidの音楽は端的にいうと古き良き時代のヨーロッパの映画音楽(ニーノ・ロータ、ミシェル・ルグラン、ヘンリー・マンシーニとかの)の様な楽曲に強烈なオーケストラパーカッションを加えてダンスミュージック化したものといったところですw このライブがあまりにもかっこ良すぎて盛り上がりすぎて、これだけでもSonarを見に来てよかったとすら思えたほどでした。Woodkidの映像は特にメッセージ性はなくサウンドのイメージを具現化した様なものですが照明とのマッチングが素晴らしく独特な空間を演出していました。実際にどんな感じだったかは下に動画のリンクを張っておいたのでよろしければ見てみて下さい。モミクチャにされながら耐えて自分で撮った映像ですw

ライブが終わって照明が明るくなった時に隣で大騒ぎしていたゴッツイ砲丸投げの選手みたいなあんちゃんに何語か全くわからない言葉でまくし立てられて、なぜか最後はガッチリと握手して抱き合って、ライブの感動と興奮を分かち合いましたw あとで調べたところWoodkidはLana Del ReyやKaty PerryのMVも撮るフランス人映像作家 Yoann Lemoineによる初の音楽プロジェクトだそうです。片手間でこんなすごい音楽を作られたら本業のひとはたまらんです。日本の例で例えるとクドカンさんのグループ魂みたいなものでしょうか。あちらも片手間でやられたらバンドマンはやってられんってくらいのカッコ良さですが。


Woodkid Sonar Barcelona by Night 13 06 2014


Woodkid Sonar by Night Barcelona 13 06 2014 Ending

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むちゃくちゃ混み合っているフロア中を練り歩きながら背中にタンク背負ってビールを売ってるバイト君が沢山いました!
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Four TetのDJ。Massive Attackの前座的な役割だったのでダブばっかりプレイしてました。ある意味貴重かも?


Sonar 2014 by Day

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今年はバルセロナのSonar Festivalにいってきました。Sonarは毎年バルセロナで行われるエレクトロニック・ミュージックとメディアアートのお祭りです。by Dayとby Nightで二箇所の会場でおこなわれていました。by Dayといってもお昼からはじまり、終わるのは夜の10時です。スペインは夜がおとずれるのがほぼ10時ごろからととても遅いんです。

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Nils Frahm
アンビエントやエレクトロニカのテイストを取り入れた作品を多数リリースしているピアニストです。どんなライブになるのか楽しみにしてましたが、ピアノ二台とローズ、それと大きなエコーマシンなどを駆使しつつの壮絶な人力ミニマル・ミュージックの演奏でした。最後は一曲で20分以上もの長尺の曲で汗だっくだくになりながらの熱演で大歓声をあびてました。以前にBrandt Brauer Frickの一時間半ノンストップの人力テクノのライブをみましたが、クールなイメージのあるミニマル・ミュージックのアーティストが肉体を酷使してみせる演奏にはとても感動させられます。

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Trentemøller
このひとの作る硬質でダークな音が大好きなのですが、最近のライブでは歌もののロック寄りな音に傾倒しているようです。

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Matmos
アメリカ出身の実験的なエレクトロニカを作るアーティスト。BjorkのVespertineの頃のサウンドプロデューサー、ライブサポートメンバーとして有名な人たちです。この日のライブでは映像素材にかけるエフェクトに音を連動させたり、普通のメトロノームを走らせながら、その音に即興的な加工を加えたり、またその音をトリガーにして様々な電子音を発音させたりとかなり変わった趣向の演奏でした。「real experiment !」と観客に向かって強調してましたね。

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Bonobo
UK出身、アブストラクトヒップホップの名門レーベルNinja Tuneから数作リリースしてる中堅アーティスト。スタジオ音源からのイメージではもっとクールで抽象的なライブになるのかなと思っていたのですが、すごく躍動的でバラエティに富んだ熱いライブでした。BonoboことSimon Greenはシーケンスやエフェクトを操作したり、小さな鉄琴のような楽器やベースを演奏したりと大忙しです。また曲によってサポートメンバーが入れ替わり立ち代わりなので飽きません。女性ボーカルやホーンセクションが入ったかと思えばドラムとベースのみのセッション、Simon一人だけでDJっぽいライブ演奏など。どの組み合わせでもとても構成や展開が練られている上に演奏の安定感も抜群でした。特にサポートのドラマーの演奏が素晴らしく、いわゆる「打ち込み+生演奏」的なライブのイメージを完全に払拭するほどに有機的なライブでした。このアーティストはもっともっと人気がでてくるような気がします。アリーナコンサートなんかでも映えそうな風格でした。

by DayではアーティストのライブやDJの他にも最新音響テクノロジーやコンピュータソフト、メディアアートの展示会や、McIntoshのオーディオ機器だけで組んだクラブサウンドシステムの小屋も併設してたりと、(これは残念ながら行きそびれました)バカみたいに広い会場のどこにいっても飽きることがありません。

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二回とも見られなかったPlastikman。

マスタリング完了

昨年暮れから始まったHappy Familyのニューアルバムのレコーディングですが、ようやく全ての作業を終えて、マスタリングを完了しました。
15年ぶりのサード・アルバム "Minimal Gods"はアメリカCuneiform Records、日本盤はDisk Unionから9月末頃の発売予定です。

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レコーディング中

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今年に入ってからHappy Familyの新作のレコーディングをはじめています。先日ようやく全てのベーシック録りを終えて、これからは追加ダビングやミックスの作り込み作業に入っていきます。なかなかタイトなスケジュールで、しかも仕事も目いっぱい立て込んでいるので今月来月は時間との闘いになりそうです。

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よいお年を2013

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今年は何よりもバンド活動の復活における前進が大きなトピックでした。2011年に意を決して以来ほとんどリハビリ同然のリハーサルを積み重ね続けてようやく何とか人前で演奏できるくらいの状態にまでこぎつけられました。普段の仕事での音楽の制作では自分とひたすら向き合う孤独な作業の連続ですが、バンドで音を作っていく事によって他のメンバーの成長、挫折、葛藤など全てを含めて変化していく様を受け入れつつ創作していく事で、自分も色々な事を学び気付かされました。

「志のないお洒落な小動物のような」 ものではなく、下手くそでもしっかりと何か聞いた
人の心に突き刺さる力強い音楽を。 そして結束力の強い共同体としてのバンドを作る。


これが再活動の時の決意です。
今年一年でわずか三回のライブですが、何とか当初の決意は形になってきたように思えます。すでに来年に向けての具体的な良い話もいくつかあり、バンド活動に関しては非常にゆっくりとではありますが良い方向に進んでいます。

仕事での音楽制作に関してはいまだに自分が進むべき方向がはっきりとは見えていません。音楽業界、もしくは音楽をコンテツとして必要とするエンターテインメントのビジネスは全ていまは混沌とした過渡期で自分の様な砂粒の様な個人は振り回されて全くどこにたどり着くかわかりません。
この2年ほどは特に停滞気味だったのですが、ようやく今年の中頃以降から新しいお話をいただく事が増え、こちらも来年に向けての新しい展望が見えつつあります。

ということで来年の目標は「記憶と形に残す」です。いつまで今のような音楽に浸った生活ができるかわからない中、来年は自分にとっての記念碑をひとつ作る年にできそうです。

それでは皆様よいお年を。
そして来年もよろしくお願い致します。

イズタニタカヒロ
 

変拍子で踊ろう Vol.12

Happy Family 20131221 いわいづつ (Feu de joie) at Club Goodman Akihabara Tokyo

12/21はHappy Familyの今年最後のライブでした。「変拍子で踊ろう」は90年代から続いているRuinsで活躍しているドラマー吉田達也さん主催のイベントです。今回はその吉田さん率いる是巨人と若手ながら各所で話題のsajjanuと3バンドでの共演でした。


sajjanu
この動画の演奏を見ての通りで、超絶的で複雑怪奇な1曲/45分の演奏でした。10秒ほどの細かいピースを延々と積み上げていくような演奏で、全くもってどうしてこれを記憶できるのか謎です。記憶力がよいというのは優秀なプレーヤーの重要な条件だと思っているのですが彼らはその意味だけでも天才的なレベルに達していると思います。かつて90年代には超絶技巧的な作曲と演奏を駆使するTipographicaという伝説のバンドが存在したのですが、自分がTipographicaの中であまり好きになれなかった部分、譜面くささ、インテリくささといった部分を全部取っ払った完全なストリート発のギターバンドこそがこのsajjanuです。その上センスもテクニックも最高です。この日の演奏では複雑怪奇な演奏の中に5分近くもあるような長いブレイクをいれたり、暗闇の中赤色灯を回転させながらトランス状態で10分以上も反復フレーズを続けてキッカケ無しにピタッと止まるという神業も披露してくれました。まさに記憶力超人です。


是巨人
吉田達也さん、鬼怒無月さん、ナスノミツルさんというそれぞれRuinsBondage FruitAltered Statesというリーダーバンドで活躍するベテランの凄腕ミュージシャンが集まってプログレっぽいプログレをやるバンドです。とはいえ是巨人はこのお三方にしてはかなりライトで演奏も余裕を持った感じです。上記のそれぞれのリーダーバンドの演奏を見た際にはそれこそ神が舞い降りたような鬼気迫る瞬間を何度も体験した事があるのですが、最早そういった経験を踏まえたあとの「達人同志の演奏を通じた語らい」とでもいったような余裕の安定感でした。

今回は三バンドがちょうど一世代づつ違っていて、若い順に演奏していくような形になりました。こんなニッチなジャンルのイベントで会場が満杯だったのは広い世代のオーディエンスにアピールできたからかもしれません。非常にありがたい限りです。
ということでHappy Familyは来月からニューアルバムのレコーディングに入ります。またその模様もちょくちょくお知らせしていきます。
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sajjanuの3人と。左からエーちゃんさん、おれ、コーハンさん、森川さん

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是巨人の吉田さん鬼怒さんと

Happy Family ライブ 130916

Happy Family 暴走機関車 Overdrive Locomotive 130916

映画を3本ほど。

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この10日くらいで3本の映画をみてきました。

Star Trek Into Darkness 109シネマズ川崎 3D IMAX
こちらは前作がむちゃくちゃ面白かったので期待大でした。冒頭シーンの赤い木の林を駆けまわるシーンが特に臨場感があって良かったです。緻密な描写が3D効果によってうまく強調されてます。アバターでも確か似たようなシーンがありましたが。音楽はオーソドックスというか今の時代にしては古めかしいくらいの正統派のスコアです。この作品は音より映像のおもしろさの方が楽しめました。

宇宙戦艦ヤマト2199 第7章 新宿ピカデリー
昔から宮川泰先生の音楽が大好きな作品です。1章から見続けてきて最終章でようやく劇場に行くことにしてみました。ご子息の宮川彬良さんによるオリジナル楽曲のほぼ完全リメイクがとても素晴らしく、現代的なサウンドで名曲の数々をシネコンの音響で聴けるのがとても貴重な体験でした。作品とは関係ないですが平日の昼過ぎだったにも関わらず観客の95%ほどがぱっと見で40代後半と思われる方でした。あとは連れて来られていた子どもで、いわゆる若者っぽいひとはこの回は皆無。うっすらとは予測してましたがちょっと複雑な気分でした


Man of Steel 109シネマズ川崎 3D IMAX
クリストファー・ノーラン監督絡みの作品なので外すわけにはいかないという事でこちらも3D IMAXでの鑑賞。ですが今回は脚本も監督もつとめていなかったからか、あまりノーランぽくない作品でした。それと要所要所に派手なシーンをぶちかましてあるわりには3Dの効果もStar Trekほどではなかったように思います。
むしろこちらは恒例のハンス・ジマーの音楽がまた強烈で、こちらを体感しに行ったようなものでした。Dark Knight ( 以前にブログでレビューしました)あたりから続くオーケストラでの音響実験的な作風がもはや定番になってますが、もうここまでくると音響兵器ですな。ハッキリとしたテーマはあるもののメロディや楽器での演奏表現によるスコアリングではなく反復するフレーズを音響デザインとダイナミクスで変化させつつ映像にあわせている感じ。そして劇場の大音響で聴いてるにも関わらず、完全にリミッティングされて張り付いたような音でも全く耳が痛くなるような不快さがなかったです。IMAX用のミックスってどうやってるんですかね~。
それと例のドラムオーケストラは作品を見てる間は特にどこで使われてるのは気づかなかったです。技術や音楽性と関係なく著名ドラマーを集めてユニゾンで叩かせるという結構成金趣味的な企画だと思いますが、作品の宣伝やブランディングという意味合いもあるんでしょかね。でもメイキング映像は見応えあります。全員共通のワンタムのセットがカッコいいです。

次回は日本で唯一の3Dサウンドが体験できる平和島シネマサンシャインの Imm 3D sound シアターに行ってみようかと思います。


Man Of Steel Soundtrack - Percussion - Hans Zimmer

Hughes & Kettnerのアンプ

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自宅でのギター録音用に、かつ今後ライブが増えてきそうな事もあってHughes & KettnerのアンプTubemeister36Headを買ってみました。いつもバンドのリハスタで使っている同H&K社のTriamp MK2と比べるとこちらはお手軽バージョンなのですが、ちまたの評判ではさほど音に大差ないとの事だったので今回は持ち運びしやすいこちらにしてみました。
で、結論からいうと音はTriamp MK2とは全然違いましたね。こちらのTubemeisterはLeadチャンネルで歪ませた音はMesa/Boogieを優等生的にした音といった感じです。Boogie自体がそもそも優等生的な音なのでそれ以上ってどうなんだ?という気もします。ですがCleanチャンネルはTriampに遜色ない音。いわゆる「全くクセのないクリーン」な音でギター自体の音をそのまま再現してくれるような感じです。自分はもともと歪んだ音はOKKO Dominatorで作るので、このCleanチャンネルで音作りしてからOKKOで歪ませたところバッチリ!いつものリハスタでの音が再現できました。結局アンプの歪みでなくH&KとOKKOの組み合わせでできるディストーションサウンドが自分の好みだったようです。
H&Kはこのようにクセのないサウンドがキモだと思うのですが、ふと思えば自分の使ってる制作用の機材もメインのモニタースピーカーはTannoy Precision、DAがLavry、Audio I/OがRMEといかにもフラットなサウンドのものばかりです。

キャビネットもCelestion Vintage30が組み込まれたH&Kのものを同時購入しました。このキャビネットは上から下までバランスよく鳴るものですが、今回購入前にTubemeisterのヘッドに色々なメーカーのキャビネットをつなげて試奏してみたら思っていた以上に全然違うサウンドが作れておもしろかったです。EVHのキャビにつなぐと本当にもろにミドルがブーストされたエディっぽいマーシャルの音になったり、Orangeにつなぐとローがスッキリ整理されてミドルが個性的なOrangeの音になったりと。H&Kがバランスがよく、悪く言えば無個性な音ゆえにこういう結果になってるんだとしたら今後12インチ一発入りのキャビネットを色々と増やしていくのはありかなと思いました。何せいまどきはちょっと高価なエフェクター1個分程度の値段で買えちゃうので。

あとはちょっとまた真空管にはまりそうで怖いです。今回はデフォルトの中国製からElectro Harmonixの手軽に買えるものに交換しただけですが、これはハムキャンセルできるような仕様だとの事で非常にスッキリとした音になりました。ちょっとネットで調べただけですが真空管ってもう中国とロシアとスロバキアにしか生産工場がないそうで、Electro HarmonixやGroove Tubesはそれらのラインを確保して発注かけることと、あとは選別が主な仕事なんだとか。それと何十年も前に作られたNOS(New Old Stock)がロシアの工場などにはまだ大量に眠ってるのでそこから状態のいいものを選んでるみたいです。この辺はいかにもマニアの人達が好みそうな分野ですがハマるとキリがないので見なかった事に。

こちらは次回のライブに手持ちで持っていきます。
すごい大荷物なんで雨降ったらやだな~。


Electro-Harmonix, guitar pedal engineers, vintage sound gadgets

金沢蓄音器館に行きました。

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先日、金沢蓄音器館に行ってきました。蓄音器540台、SPレコード2万枚を所有する音の歴史館です。蓄音機に関する知識は「エジソンが発明した人類初の録音機器」ということくらいしか無かったのですが、館長さんが説明しながらの試聴会や館員さんとの雑談を経て色々とおもしろい経緯を知ることができました。

試聴会では最初期のものから製造年代ごとに10台ほどを試聴させてもらったのですが、最初にエジソンの作ったものは今の円盤のレコード型ではなくて円筒状のメディアを回転させながら外周に刻まれた溝の深さの変化で縦に振動させて録音再生する方式だったんですね。確かにこの方式だと外部の振動による音の乱れは少ないし、円盤状のメディアの様に外周から内周に進むにつれて音質が劣化するという事もなく均等に録音できます。
しかしながら当然円筒状のレコードなどプレスで量産できる円盤状のものとは生産コストでは比較にならない上に原材料費もかさむので次第にシェアが少なくなり淘汰されてしまったそうです。ちょっと昔でいうとビデオテープのVHSとベータ、今だとiOSとAndroidの様な状況が19世紀後半にもすでに起こっていたとうことですね。ちなみに現在の円盤状で横振動方式のメディアを作ったベルリナーという人が立ち上げた会社がグラモフォンなんだそうです。
グラモフォン=ビクター=HMV(例の犬と蓄音機のマークにはHis Master's Voiceと書いてあります)
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この試聴会では最後にCDの音を現在の普通のスピーカーからと蓄音機のラッパからとを切り替えて再生する比較試聴がされました。美空ひばり「川の流れのように」をリファレンスとしていたのですが、ラッパで聴くとスピーカーよりも圧倒的にボーカルのレンジにスポットがあたって聴きやすくはなるんですが、現在のリミッティングされた音源をラッパから再生してもこれがなかなか抜けて来ないんですよね〜。蓄音機の電気で増幅されてない音が何で耳や心に直接ささってくるのか、色々と考えさせられました。
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エジソンのスタンダードモデル Cコンサート用中型ラッパ。
1901年(明治34年)
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米国コロンビア製のディクタフォン
簡易録音用口述筆記具。テープレコーダーが実用化されるまではこれだったそうです。
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右は英国EMG社のもので黒いラッパは電話帳を溶かして作っているそうです。左がビクター社のビクトローラ・クレデンザ。館員さんの話によると東京でもクレデンザの試聴会があるとパッと100人近くは集まるとのことです。

Happy Family ライブ 4/27-2

Happy Family 水中禅問答 (Zen In Deep Water) 130427

Happy Family ライブ 4/27

Happy Family Rock&Young 130427

Production Music Libraryについて

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Full Werks Musik

このサイトからもご覧にになれますようにいくつかの楽曲をSoundcloudにアップしていますが、最近このSoundcloud経由で海外のProduction Music Libraryの会社から楽曲を委託しないかという勧誘のメールが頻繁にくるようになりました。というわけでまずはコンポーザーとして個別にプロモーションを提供してくれるという一社と契約してみました。

いわゆる著作権フリーの楽曲を期間を決めて使用料をとってレンタルするというものですが、最近では規模、システムともにかなり多様化しているようです。たとえばドラマやドキュメンタリーの音楽をつける際に重要なシーンやテーマ曲に関してはカスタムメイドで音楽を発注してもらい、さほど重要度の高くないシーンやちょっとした絵合わせにはライブラリーにアップされている同じ作家の既存曲から使用してもらうというパターンもあるようです。(尺変更のみ対応するようです)この様な作曲の受注とレンタルの組み合わせでバジェットを圧縮して対応するシステムは実にうまいと思いました。さらにこのシステムの中にはMusical Supervisorが介入して自社の楽曲群から対象のプロジェクトに対してどの作風がマッチするかをアドバイスしたり、既存の有名楽曲の使用許諾を得る手続きを行う代行サービスまで含まれているようです。作曲、編曲、選曲、コーディネートの複合的なサービスとして展開してるんですね。欧米人らしい究極の効率化だと思います。

自分の様にゲームやメディア・コンテンツ系のインスト曲を作っているコンポーザーだと各プロジェクトごとの制作過程で結構大量の不採用曲が生まれてしまうのですが、これらは品質的に劣っているというわけではなくても単にクライアントのテイストにあわなかっただけのものもあるので何とかブラッシュアップして再利用できないかと思ってたんですね。楽曲制作は時間との勝負でもあり、また時間をかけて作った楽曲はそのままコンポーザーにとっての資産でもあります。単なるボツ曲を利益を生み出す資産として活用できるならそれに越した事はないという事です。


大手の会社だとこんな人達も提携してるようです

Bill Bruford  Nik Kershaw Evelyn Glennie

Extreme Music 超最大手で超有名人がごろごろ。ハンス・ジマーやらブライアン・タイラーやらまで。

Nitin Sawhneyのインタビューです。90年代にテクノシーンで一旗あげたひと達は現在結構このテリトリーに進出してるようです。

Universal Publishing Production Music - BBC Production Music - Nitin Sawhney Interview 

エフェクターボード

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久々にエレキギターを持ってライブをやることになったのでエフェクターも色々とチョイスしてボードに組んでみました。かつては山の様に使っていたエフェクトペダルもコンピュータでの制作が中心になっていくにつれて全部処分してしまったので全部いちから買い直しです。

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↑ 左上から順に(クリックで大きな画像)

Redwitch Fuzz God II (Fuzz) 

Strymon El Capistan (Tape Echo Emulator) 

Voodoo Lab Pedal Power 2 Plus (Power Supply) 

Okko Dominator (Distortion)

Loop-Master Pedal Custom (Loop Switcher)

Sonic Research ST-200 (Tuner)

Strymon Lex (Rotary Speaker Emulator)

Keeler Designs Stretch (Wah Pedal)

色々と調べたり試奏してみた結果この様な組み合わせのコンパクトなセットになりました。自分がここ10年以上もPCのソフトやプラグインの方面に没頭していた間にエフェクターの流行りや性能も随分変わったと思いました。

まず思ったのはヴィンテージペダルのレプリカや復刻版の隆盛です。自分のセットの中だとKeeler Designs StretchはVOX V846ジミヘンがウッドストックで使ってるやつ)をモデルにしたレプリカです。ギターでもそうなんですがヴィンテージのものは発売当時の電気事情やPAとアンプの音量や性能にマッチングして設計されている面があるために今の時代に使うとバランスが悪い所が色々とでてきます。レプリカものはそういった弱点を克服しながらヴィンテージのサウンドを再現できるという利点から重宝されてるんだと思います。

また、高性能のCPUをこんな小さな箱に納めて尚且つ省電力でアナログ機材のシミュレートサウンドを出すStrymonの様なメーカーがでてきたのも驚異的です。デジタルエフェクターというと高品質な音色を出すためでなく多機能や利便性のためのものという常識は完全に過去のものだと感じます。特にEl Capistanについては自分が今まで使ったことのあるディレイの中では最高だったMaxon AD-900に匹敵する滑らかな音の減衰を表現できるエコーマシンです。しかもルーパーとしても使えたり外付けフットスイッチでプリセットを呼び出せたりとデジタルのいいところもしっかりおさえてます。

そしてネットでの発注が一般的になったことにより、世界中の無数のハンドメイド工房によるペダルが気軽に買えるようになりました。試奏やクーリングオフはできませんが、そういった工房のサイトにはほとんどYouTubeのリンクが貼ってあってペダルの基本性能や音色についての詳細が見られるようになっています。自分のセットでは特にLoop-Master Pedalのループスイッチャーが受注生産品で工房から直送されたものです。スイッチャーやセレクターに関してはセット全体の完成形をどういう物にするかによって規模や必要なIN/OUTの種類が変わってくるので既成品だとなかなかこれっ!というものが見つからずに困っていたところ、とあるこの手の情報に詳しい知り合いの方にこれを教えていただきました。Loop-Master Pedalは日本には代理店も全くないようですが、実際に製品を受け取って試してみても非常に満足のいくサウンドだったので自分からもオススメできます。(発注から受け取りまで2ヶ月もかかったのが少しだけ難点ですが)

と、ここでふと思ったのは選んだものに日本製のペダルがひとつもなかった事です。自分がギターを弾きだして以来エフェクターのシェアは断然国産メーカーのものが多かったのですが、もはやここもグローバル化してきてるようです。(自分のセットだとOkko=ドイツ Redwitch=ニュージーランド 残りはアメリカ)もちろん今の国産にも素晴らしい製品がたくさんあるのは調べたのでわかっており、サウンド、個性、機能性、デザイン、価格など全ての要素で考慮したところで抜きん出るものがたまたまなかったという事なんですが。

先に書いたレプリカものにおいては実はかつての国産エフェクターの名器、Boss OD-1、Ibanez Tube Screamerなどの設計を元にした高級ペダルがたくさんあり、完全に研究しつくされた結果もはやギターでいうGibsonやFenderのようなポジションになっている感すらあるんですが・・・こういうところでも時代が変わったんだなということを強く感じました。

↓ こういう人達にものすごくシンパシーを感じます。


Fuzz: The Sound That Changed The World

こちらも楽しみです。
Beautiful Noise - Trailer - Support on Kickstarter

レ・ミゼラブルを見てきましたよ。

遅ればせながら現在公開中の映画「レ・ミゼラブル」を見てきました。ミュージカルという事とかなり音楽の分量が多いという程度の事前情報だけで見に行ったのですが、最初から最後までほぼ全編歌いっぱなしでしたので二時間半のミュージックビデオを見たような感覚になりました。

さらにこの映画では役者が自分の芝居のペースとテンポ感で歌ったテイクにあとかぶせでオーケストラをあてており、完全にドライな声にきっちりミックスされたオケがのって同期しており、既存の先録り口パクあわせのミュージカル映画とも舞台のミュージカルとも違うので何とも不思議な感覚になってしまいました。この奇妙な感覚にさせられたせいでストーリーに集中できず「これどうやって同期してんだ?」なんて事ばかり考えながら見るはめになってしまいました。エンドクレジットにStage Pianistという表示があったのでようやく仕掛けがわかったのですが、芝居を見ながらバックステージで伴奏してくれるピアニストの音を役者がイアホンでモニタリングしながら歌い、録音されたピアノをオケに差し替えてるとのことでした。

しかし普通に交わしている会話がずっと歌になっていてさらに三人目の歌が絡んできて最後は三声できれ〜にハモリになったりするとあまりの違和感で笑ってしまいそうになりました。また通常ミュージカル映画では芝居のシーンと歌唱シーンが交互に入り、現実とファンタジー部分をそれぞれ担っていますが、この作品では全てが現実感覚のまま虚構みたいなもので、ある意味「歌で会話する世界」という異次元の話みたいな事にもなってますw 手法が斬新ゆえに見る方の順応力も問われますね。
こっちはメイキングです。役者さんは音聴きながら芝居できるからやりやすかったとのこと。

吉祥寺シアターに行ってきましたよ。

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先日 Newsでお伝えした舞台公演を 吉祥寺シアターに見に行って来ました。
この施設は公益財団法人 武蔵野市文化事業団が運営する文化施設で現代演劇やダンスを中心とした舞台芸術の創造の場として劇場とけいこ場が併設された施設です。以前にこの会場でフラメンコのパフォーマンスを見に行った事がありこの会場の音響の素晴らしさをとても気に入っていました。
今まで自分がミックスまで行ったトラックがそのまま流れる機会はスタジアムやアリーナもしくは小さいライブハウスでしか聴いた事がなく、本格的な音響システムが導入された中規模の劇場で果たしてどう聞こえるのだろうと楽しみにしていました。CD音源のマスターではないのであえてほとんどリミッティングせずにミックスをまとめた楽曲が多く、弦アレンジの曲などは思いっきりダイナミックレンジをとったのですが、ほとんど自宅で聴いていた時の印象そのままで、マスタリングスタジオで聞く様なフラットな音に劇場ならではのアンビエンスを足したような心地良い音でした。
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ここのスピーカーシステムはドイツ d&b audiotechnik社製の Ci-Seriesというものでヨーロッパの劇場などによく採用されているそうです。ベルリンの Berghainでも同様に感じたのですがここも天井が高い会場だということと、壁面には木毛セメント板という畳くらいの大きさの厚さ3センチ位の板をはめ込んである事で(その板の中に塗り込められたリボン状に削られた木の凹凸によって吸音と音の拡散を計算しているそうです)スピーカーの存在を感じさせないナチュラルな音響作りになっていると思いました。生音の響きもとても良かったので演劇に限らずライブ演奏でも良い感じになりそうです。特にアコースティックと打ち込みものやサウンドスケープの共存するようなライブには最適だろうなあと思いました。つーかここでライブやりたいw


イアホンを買いましたよ。

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今の仕事をするようになってから外出時に携帯音楽プレーヤーで音楽を聴く習慣が全くなくなっていたのですが、先日携帯をiPhoneにした上に Etymotic ResearchのER-4Sというイヤホンを購入してから何かと音楽を聴きまくる様になっています。
自分は今まで仕事の際でもヘッドフォンをほとんど使わずに作業しています。ヘッドフォンだと低音の質感がつかめなかったり奥行きも見えづらかったり、あと物理的な装着具合によって定位のバランスまで掴みづらかったりするのが理由です。
ですが、このER-4Sはそれらのマイナス要因を全てクリアしており音源の音質的な質感や音量レベルの差異まで如実に再現してくれるので今後は仕事でも活躍してくれそうです。低音の質感に関してはまだモニタースピーカー無しでは完璧な判断はしづらいですがその他の要素で特に定位に関しては何年も普通に聴いてきた曲の定位ずれをいくつか発見してしまったほどの正確さです。
それと今となっては全部mp3になってしまってますが、最初にリリースされたのがアナログレコードか、CDに完全に以降してからか、Protools以降のものか。大きくわけてこの3つで音量レベルと質感に相当違いがある事にもあらためて気づきました。Protools以降のものについては制作時にタイミング補正がなされてる事の影響も大きいと思います。

そんなわけで「どうせiPhoneで音楽なんか聴かないし」と32GB仕様のものを選んだ事を後悔しているわけですが、32GBパンパンにつめた音源ファイルをシャッフル再生しているうちに次第によく聞くお気に入りアーティストが決まってきました。
まず XTC、若い頃にウォークマンで聴いていた時は中期の Black SeaBig Expressをよく聴いていたのですが、ちょうどむかし自分がウォークマンを使わなくなってからリリースされた Non SuchApple Venusの1と2などの、シンプルなアイデアと構成の中に多彩な色を散りばめたような複雑な展開を作るアレンジ力とアイデアの凄さに唸っています。
それと Brandt Brauer FrickBopのMVカッコよさにやられて今年の来日時に代官山Unitのライブまでいったくらいですが、アルバムの他の曲にはいまいちピンときてませんでした。もともとミニマルな楽曲群なのでさっとチェックするくらいでは意味がないのですが、聴きこむ程に各サンプルやフレーズの磨きこみが際立っているのがわかります。それと楽曲構成とミックスの相関関係が実に複雑で細かく作ってあるのもわかります。
最後に Craig Streetのプロデュースした諸々の作品です。このところフルアコースティックの曲をミックスする機会が続いた事もあってリファレンスでよく聴いていたのですが、ルームリヴァーブをうまく使った楽器同志の距離感と音を必要最小限に削ぎ落した超クールなアレンジがたまらんです。おすすめは Madeleine Peyrouxの最新作、 Gipsy KingsのRootsLizz Wrightのファーストとセカンド(ミックスが Tony Maseratiでマスタリングは Greg Calbi)などです。

世間的には今さらという感じではありますが、iPhoneで生活習慣が変わる感覚を実感しております。おせ~w

ロック・オブ・エイジズをみてきましたよ。


ここのところ地味〜な自宅作業が続く合間を縫って映画ロック・オブ・エイジズを見てきました。
この作品はトム・クルーズ一主演(?)のミュージカル映画で、アラフォー世代をターゲットにした80sのロック系ヒット曲を多く使用していることで話題です。

以下ネタばれ含みます。(ネタばれしたからといって面白さが半減するものでもありませんが)

ストーリーはありきたりなボーイミーツガールもので全く新鮮味ありません。この作品が他と異なる事で評価されうる点はB級グルメ的選曲のおもしろさです。当時アメリカのチャートでは結構ヒットしてたもので、なおかつ日本ではあまり流行らなかったものが多い事で不思議なB級感が出ていた様に感じました。(Quarterflash、REO Speedwagon、Pat Benatarなど)
特にQuarterflashなどは一発屋だったにもかかわらず自分にとって洋楽聴き始めのド頭のころだったので妙に記憶に残っています。自分の思う80sっぽいサウンドの特徴というと、FMシンセのベースやピアノ音色やストラトのハーフトーンと並んでサックスソロというのがあって、それはこのQuarterflashのHarden My Heartを洋楽の最初期に聴いたからかなとも思います。他にもサックスソロがフィーチャーされた当時の名曲いうとDaryl Hall & John Oates (Maneater)、Men at Work (Who Can It Be Now)、Duran Duran (Rio)、Glenn Frey (Heat is on)など挙げたら切りがなく、Journeyですら80年代後期のアルバムではサックスソロ入りの曲が入ってました。
上記の曲は言うまでもなく素晴らしい名曲なのですが、サックスというと夜の小洒落た酒場のイメージがあり、パッと聞きだとダサいアメリカン・ポップスをオシャレにラッピングするのにちょうどよいという事からか安易な使われ方の曲も大量に存在しました。そういった軽薄なイメージがまだ残っていて自分の作る曲やトラックにサックスが入る時には結構慎重にアプローチを練るようになってしまっていますw でもそれほどイメージとして強力だったという事でもありますね。

もうひとつ気になった事として、映画で流れる楽曲はその後に台頭してきたアイドル系のダンスミュージックに対抗するロックンロールの象徴として扱われているのですが、リアルタイムで流行っていた時には「産業ロック」(綿密なマーケティングを経た後に大金をつぎ込んでサウンドプロデュースされた、映画でいうところのブロックバスター的なロック、Journey、Foreigner)と呼ばれていたものや、「LAメタル」(アメリカではヘアメタルと呼ばれてたものでビジュアル先行のメタル、Poison、Twisted Sister)など、王道的なロックのファンからすると唾棄すべき忌まわしきものとされていたものだったんですね。(自分は当時も今も大好きなのですが)
昨今では80sのロックサウンドのひとつの代表的なスタイルにもあげられるDef Leppardですら当時はオーバープロデュースされた無機的なサウンドと言われてましたし、映画の中でトム・クルーズが歌うPour Some Sugar On MeはWe Will Rock Youの真似だと揶揄される事もありました。これらが20数年の月日を経て美化されて扱われているのもとてもおもしろいです。70sのロックを中心にとりあげていたスクール・オブ・ロックとは全く対照的な価値観です。

あとどうでもいいことですが、キャサリン・ゼタ=ジョーンズがダンスする姿が誰かに似てるなと鑑賞後ずっと思っていたのでが、とんねるずの貴さんでしたw 途中にMichael JacksonのBeat itの振りを混ぜ込むところの動きがそっくりでしたw



Def Leppard Review Tom Cruise

トム・クルーズは半年間ボイトレして歌ってるとか。アクセルとイギー・ポップをお手本にしたとかの話。

イタリアの古楽器 1

ここ三ヶ月ほどの間、イタリアのローマ在住の作曲家Paolo Fontana氏と楽曲制作を進めています。
Fontana氏は同世代ながらまるで自分とは真逆の経歴で、アカデミックな音楽教育を経たのちにイタリアの伝統的な音楽をベースにした作曲活動をしており、また中世の古楽器のコレクターでもあります。(実際に演奏に使用しているのは多分オリジナルではなくリイシューだと思いますが)「どういうものか詳しく知りたい!」 と言うと喜んで山ほど写真を送ってくれました。折角なのでここで全部掲載しておきます。ちなみにこれらの楽器を使って作曲、録音を行い、現在鋭意制作中です。

Chitarrino Rinascimentale
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いわゆるバロックギターというものです。Rinascimentaleとなっているのでルネサンス時代の型なんだと思います。Chitarrinoは音域的にはソプラノでパッと聞きではギターよりもバンジョーとウクレレの中間みたいなサウンドです。

Baroque Guitar
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Baroque Guitarと書いてありましたが多分Chitagllila(キタリーリャ)バロックギターでもアルトの音域の楽器だと思います。

Turkish Baglama (saz)
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バグラマというのはギリシャの古楽器だと思うのですが、トルコのバグラマ=Sazということ見たいです。隣の国なので地域によって微妙に異なる程度なのでしょうかね。

Viola da Gamba French Baroque
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Viola da Gambaはヴァイオリンに似てますが脚で固定して演奏するもので、室内楽向けの楽器のようです。
実際録音データを聴くと音量が小さく、箱鳴りよりも弦の摩擦音で音の個性を出してる様に感じます。

Viola da Gamba Italian Renaissance
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こちらも同じく。Italian Renaissanceということなのでルネサンス期のイタリア製でしょう。

という事で。また写真が送られてきたら第二弾もあるかも?

追加
ブログのアップ時にひとつ載せ忘れていたので追加しておきます。

Egyptian Oud
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バルカン半島から中東にかけても使われる北アフリカの楽器です。いわゆる中近東っぽい弦楽器のイメージそのもののあれです。しかしここまでくるとイタリアの古楽器というブログタイトルには偽りありですねw

ECOVANAVOCE - "A la Femminisca"



「最近どんなの聴いてますか?」

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今日はミーティング後の雑談で「最近どんなの聴いてますか?」と聞かれて「うーん特には」としか答えられなかった自分がなんか情けなかった。で、家に帰ってきて最近よく聞いたものを実際にリストアップしてみた。

 Nick Cave & Warren EllisLawless」サントラ
 Antonio PintoSenna」サントラ
 Max RichterRecomposed By Max Richter Vivaldi The Four Seasons
 Amon TobinISAM
 Berghain 05 (Marcel Fengler)
 Brandt Brauer FrickYou Make Me Real
 Animals As LeadersWeightless
 Hans ZimmerThe Dark Knight Rises」サントラ

ということで説明から入らないと通じなさそうな上に話が盛り上がらなそうなものばかりでした。でも同業の人達みんな今でも新譜チェックとかまめにしてんのかな~。あとよく見たら歌モノがひとつもない!

最近歌モノでいいな〜と思ったのはテイラー・スウィフトの「Safe & Sound」とケイティ・ペリーの「Wide Awake」です。アメリカの田舎っぽい感じが残ってるダサめのポップスが大好きです!


ベルリンのクラブ 2

前回のブログに続いてベルリンで他に行ったクラブについてそれぞれレポートしてみます。
Tresor
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90年代から続く同名のジャーマンテクノの名門レーベルの本拠地でもあるハコです。自分もかつてテクノにどっぷりだった時期にはJoey BeltramCristian Vogelなどの, 看板アーティストの音にハマってました。先述のBerghain同様にここも旧東ベルリン時代の建物をそのまま使っているのですがここは火力発電所の跡地だそうです。
フロアは一階がエントランスとクロークで二階にBatterieという比較的ライトなテクノやハウスまでプレイする明るめのフロア、地下一階がTresorというかなりハードコアなテクノ中心のフロアです。Berghainと違うのは若い人が多い事、そして立地的にも安心して入店する事ができる事もあって女性率が高かった様に思います。さほどエントランスチェックも厳しくないからかフロアの隅っこで平気でマリファナを紙で巻いている若者がいたのには驚きました。
ここでの目当ては地下のTresorルームです。上の階もかなりか廃墟感はあるのですがこの地下フロアはもろにバイオハザードに出てくる様な地下道そのものです。どちらかというと天井も低めで圧迫感がある中、この日はかなり無機質でエクスペリメンタルなテクノがプレイされていました。いわゆるビートではなくただの低周波のパルスが鳴り続けながら時折ブリープシンセの断片的なプレーズ(ビリビリッとかブリッとかいうだけ)が聞こえるだけという。踊るというより痙攣してしまいそうな音でしたw ランダムな間隔で点滅するストロボがまたかなりの光量なのでしばらくいたら目がおかしくなりそうでした。さらにこのフロアは通路が入り組んでいる上にほぼ常時うっすらとスモークが炊かれており、非現実感を作るための演出も強烈です。ここまで実験的な音を一番盛り上がる時間帯(多分午前4時頃)に持ってくるのもすごいと思いました。

Watergate
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シュプレー川沿いにあるウォーターフロントの店。フロアはひとつだけで広くもないですがソファが多く川沿いに張り出すように作られたテラスがあったりと、クラブというよりはカフェのような感じですが有名なDJがブッキングされる事が多いらしくこの日もメインDJはRichie Hawtinでした(トリノオリンピックの開会式用に楽曲提供した事で、以降認知度がグッと上がったようです)ここは音ではなくお洒落でゆったり楽しむ雰囲気が売りっぽいので自分的には特に得るものがありませんでした。落ち着いて飲みながら音も楽しむという目的ならベストだと思います。

Horst Krzbrg
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日本でいうと中目黒か吉祥寺くらいにあたる少し中心部から外れながらも近年活気があるというクロイツベルク地区にあるアットホームな雰囲気の店です。こちらも旧東ベルリン時代の建物の居抜きで郵便局だったところを改造しているようでした。自分が行った日は老舗レコードショップのHard Waxが月一で主催するWax Treatmentというイベントが行われていました。Hard WaxといえばBasic ChannelRhythm & Soundという事でこの日はダブを期待してきました。エントランスから入ってすぐ中は程よくゆったりめのバーカウンターとラウンジでその奥にメインフロアがあるというシンプルな構成ですが、メインフロアに入るまで見えない位置に巨大なスピーカー群が設置されていました。Killasanというロゴが書かれたそれらは詳細がわからないのですが明らかにレゲエ・ダブ系のサウンドシステムでした。
この日はまだ早めの時間での入店だったのでフロアにはお客さんもまばらでゆったりした雰囲気の中ナゾ度の高い民族音楽がかかっていました。DJブースを覗くと数十本のカセットテープと三台のカセットデッキが並んでおり、それらを入れ替えながらミックスしていました。後で調べたところこの時のDJはAwesome Tapes from Africaというアーティストだったらしくジャンルにこだわらずアフリカの色々な音楽をミックスしていたようですが、80sのB級ディスコだと思って聞いていたものもどうやら現代のアフリカの都市部で流行っている最新のポップスだったりしたようでw なかなかこの辺は奥が深すぎます。
この店はベルリンの中心部から少し離れた物価のやすい地区にあるからかエントランスフィーが他の店の半額以下の5ユーロと非常に安くビールも幾分安めに飲めました。またイベントの内容のせいもあってかゆっくりまったりと音を楽しもうとしてるお客さんがほとんどでした。BerghainやTresorのようなゴリゴリのバキバキのコアなところはちょっとという人にはバッチリおすすめできる良質のハコです。

ベルリンは街全体が他のドイツの大都市と比べてもまだまだ物価や家賃が安いようで(特に旧東地区)これによって世界中からクリエイターが移住してきたりクラブ、ギャラリー、イベントスペースなどアンダーグラウンドなカルチャーが生まれやすい土壌になっているようです。壁が崩壊してから二十年経っても街の至るところで都市開発の工事が行われておりまだまだ色々な新しい事が興りそうな街でした。

Real Scenes: Berlin from Resident Advisor on Vimeo.


ベルリンのクラブ 1

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先日のブログで書いたガイド本を読んでから触発されてしまいベルリンのクラブ巡りをしてきました。特に行ってみたかったのが旧東ベルリンの変電所跡の建物をそのままクラブとして使っているという廃墟フェチの方などにはたまらないBerghainというクラブです。ここでの事は今まで行った事のあるクラブのイメージを全て塗り替えてしまうような体験でしたので順を追って書いてみようと思います。
まず基本的にこのクラブは土曜日しか営業していないのですが、月曜の午前中までぶっ続けで盛り上がり続けているのが普通だということです。巨大な五階建て(多分)の建物内にはゴッリゴリのミニマル・テクノを中心にプレイするメインフロアのBerghainとその上にあるハウスを中心にプレイするPanorama Barの二つのフロア構成で成り立っています。夜の1時頃ベルリン東側の中心部アレキサンダー・プラッツ駅から2つ目のオスト駅で降りるとあたりはほとんど店もなく寂しくだだっ広い通りがあるだけですが、まわりにはチラホラとBerghainに向かうであろう人達が見えます。5分程歩くとBerghainの巨大な建物が見え、内部のスモークや照明の色が見える事からすでに盛り上がり始めているのがうかがえます。と同時にまだ建物に着くまで200メートルのところですでに中に入場するのを待つ行列ができていました。このクラブは入り口でドアマンのチェックがあり、その日のパーティの雰囲気や店自体のイメージに合わないと判断された人間をシャットアウトするシステムなのです。この場所に人が並んでたまるのが常なようで行列の客相手にビールを売りに来る屋台まで来ていました。結局一時間半ほど待ってようやく列の先頭近辺まで来ました。前の方では同様に長時間待った人達がまるでプロレスラーかヘルスエンジェルスみたいなドアマンに容赦なくはじかれています。見ているとその判別基準は完全に主観で瞬時に決めている様に見えるのですが、バカ騒ぎしそうな子どもの団体や派手な服装のギャル二人組などが特にダメなようでした。で、ようやくドアマンの許可を得て中に入るとまずすぐに持ち物のチェック。これは空港でのセキュリティチェック並に入念にされました。というのはここはゲイクラブでもあるので普段の生活でカミングアウトしていない人達のプライバシーを守るためにカメラは絶対にNGだからなんだそうです。
ようやくチェックも終えて店内に入るとまず一階はほとんど真っ暗なラウンジが奥にありうっすらと男同士で何やらうごめいている様子がうかがえます。ちょっと怖いのでここはスルー。また鉄製の扉の中の倉庫のような真っ暗な場所に次々と屈強なスキンヘッズの男が入っていったきりでて来なかったりと色々と謎が多いです。 そこから階段を上がったところがメインフロアなのですが、鉄製の階段や周囲の金属壁に轟音が響いてまるで雷が鳴り続けてるような状態です。メインフロアは四方を巨大なスピーカーに囲まれていて天井はその上二階が吹き抜け、ただし二階といっても一階分の天井の高さが10m近くあるのでかなりの高さになっています。四方から爆音が鳴っているのにスピーカーの真ん前に立っていても耳が痛くなることはなく、下からの重低音とスピーカー上部からの音、それに天井に反響した音が上から降ってくる様な感じで全身が音に包まれるような感覚で踊れます。
ここのスピーカーはFunktion-Oneというメーカーの製品で、このスピーカーをうまく導入している事で名高いイビサ島のSpaceというクラブに行った事があるのですがSpaceよりもBerghainの方がさらに良い音を出してました。比較するとSpaceはさほど天井が高くなかったので、上に抜けていく音が心地よさを感じるには重要なのかなと思いました。同じくイビサの老舗であるPachaというクラブのメインフロアはBerghain同様に天井が高く、低音と広がりを感じる反響音のバランスがとてもよかったです。この時にまわしていたのはレジデントDJのMarcel Fengler。自分が最も楽しみにしていたDJです。ビートとシンセノイズで組んだ様なフレーズが絡むだけのシンプルなトラックを延々とロングミックスしつつバランスを変えてブレイクを作っている感じの素晴らしくストイックなプレイでした。ミニマルでシンプルなトラックでつないでいくにはまずハコ自体の音響システムがうまくチューニングされてるのが必須なのだなと思いました。
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Berghainは一度入場できたらそのあとは何回でも出入り自由なので、ひとしきり楽しんだあと明け方近くにホテルにもどって昼過ぎ頃に再挑戦。今度はメインフロアの上にあるPanorama Barのフロアへ。太陽が出ている時間だとこちらは窓のブラインドの隙間から陽がさし、退廃的で享楽的なフロアと相まって何ともいえない多幸感を醸し出します。昼過ぎの時間帯だとメインフロアよりもPanorama Barの方が幾分盛り上がっていました。ここでは何回か「チューインガムを持っているか?」と男の客に聞かれたのですが何かゲイのサインだったのでしょうか。今もってナゾです。またよくみるとPanorama Barのさらに上にも個室ラウンジのような小部屋がいくつかあり抱き合ってるカップルや普通に寝ている人などもいました。
この建物内はこれだけ退廃的で外界とのつながりを断ち切る演出をしているにも関わらずとても安全な感じがしました。泥酔したりドラッグをキメまくって絡んでくる人などは皆無で純粋に音と踊る事を楽しんでいる人が大多数でした。入場チェックの厳しさや音以外の事も含めた演出の徹底さ加減がもはやクラブ界のディズニーランドとでも言えるようなレベルに達していたと思います。

Berghain

プラグインレビュー#1

プラグインとはなんぞや?という方も多いと思うので簡単に説明すると、自分の様なコンポーザー、アレンジャーが制作に使うホストアプリ(Digital Audio Workstationの略でDAWとも呼ばれます)の内部で動作するサードパーティ製の別ソフトの事で、このプラグインの種類の選択や音加工のセンス次第でクリエイターの個性が大きく左右されるという程のものであります。また膨大な数のディベロッパーと製品が存在する事で一種のコレクター的感覚で集めまくってしまう罠に陥りやすいものでもあります。
色々とスター級の有名なプラグインも多々あるのですが、そういったものはサウンド&レコーディングマガジンなどで優秀なレビュワーの方々が紹介されていますので、このブログではあまり日が当たらず地味ながらもこれは!と思ったものをちょこちょこと紹介していこうかと思います。まあほとんど同業者のかた向けの世間話になってしまいますが・・・

Cableguys VolumeShaper

Ableton Liveでは個別のオーディオサンプルに対して直接ヴォリューム情報を書き込めますが、こちらではオーディオインストの発音から読み込んだ波形をプラグインのブラウザに表示させて操作できます。この事によってわざわざ一度オーディオ化しなくても波形を見てボリュームを書き込めるので簡単により複雑な動きのビートが作れます。
例えば任意にプログラムしたビートに対してアタックが早くスレッショルドがきつめのコンプをかけておいて、さらにこのVolumeShaperでコンプのリリースで音が戻ってくる時のカーブを極端に書いてみたり、さらに二段がけしてミュート、フェードイン、トレモロなどのエフェクトをかけたりとアイデア次第で色々と変態的な効果が作れます。普通にコンプのサイドチェインでキックをぶつけてダッキングするよりもカーブを直接かけることでグルーブをコントロールしやすいという利点もあります。最近のダンスミュージックだと特に不自然なくらい極端なダッキングや、パッドシンセに対して書くボリュームのカーブをリズミックに動かす事でグルーブを作るようなテクニックが多いので、そういった効果を作りたい時にすごく便利に使えて楽しいです。

Dada Life Sausage Fattener

これは普通のディストーションのプラグインともアンプシミュレーターともWavesのLシリーズのリミッターとも違う感じでぶっとく歪ませられるプラグインです。主にベースやリズム系に使う事が多いですが、かなり音圧が稼げるので曲によってはマスターに挿してもいけますw
いわゆる歪み成分が加算されていく感じではなく、まさにブラウザのビミョ〜に卑猥っぽいソーセージのイラストの様にエネルギーがはちきれんばかりの感じに歪んでいくのであまり耳に痛い感じにならないところが良いです。 さらに二段挿しや三段挿しにすると変なノイズ成分が持ち上がってくるのでそれもまた音楽的においしく使えます。これでSkrillexJusticeみたいなバッキバキのブッリブリのトラックも簡単に作れますねw


ダークナイトの音楽

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先日IMAX109シネマズにかねてから楽しみにしていたダークナイト・ライジングを見に行ってきました。
このシリーズは映画としての完成度はもとより前作において革命的な音響手法を用いた映画音楽が作られた事で多方面の音楽制作者から大注目されています。


前作ダークナイトのサントラの一曲目「Why So Serious」です。素材としてオーケストラ楽器を基本にはしていますが、それらは断片としてブツ切りにされてミニマリスティックな楽曲の要素として再構成されています。
特に自分にとって衝撃的だったのはエレキベースかと思われる音のグリスアップのあと3.:27からの部分。ここはヘッドフォンで聴いてたりするといまいち地味でよくわからないんですが、ほとんど可聴帯域以下の低音だけが鳴っており自分が最初に聴いた時には自宅スタジオのモニターでかなりの爆音で聴いてたので突然この部分がカットインした瞬間になにか天変地異でも起こったかのように部屋が地響きたてて震えだしたのです。
この手の極端なフィルタリングを使ったブレイクは昨今のダブステップなどにはよく聞かれますがオケ系の映画音楽でここまで大胆に使われたのは初めてではないかと思います。
自分はここ10年くらいの映画音楽は割りとチェックしていまして、ダークナイトより数年前にオーケストラ楽器でのミニマル・ミュージックを取り入れた映画でレクイエム・フォー・ドリームという名作がありました。
クロノス・カルテットが演奏する悲壮感をまといつつ淡々とした楽曲はストーリー展開やシーンとの音との合わせ方という点でこの作品はダークナイトととても近いです。ひょっとしてハンス・ジマーはレクイエム~から多少のヒントを得てるんじゃないかと勝手に思ってます。
ですがこの「Why So Serious」はもう楽曲単体として革命的で、それ以前にはなかった音楽です。なんでも楽曲のキューシートには作曲者のハンス・ジマー、ジェームス・ニュートン・ハワードの他に3人のサウンド・デザイナーの名前が記されているそうで、セッションの中でどんなエディットが行われたのか非常に興味深いです。

そんな前置きもあって見に行ったダークナイト・ライジングですが、実際に映画を見る前にサントラで音だけは聴いており、今回は前作ほどの衝撃的な音楽ではなくダークアンビエント的な重厚さを持ちながらも割りと正統的な音楽という印象を受けていました。
が、実際に映画を見るとサントラで聴いた時の印象とは大きく異なる迫力があり、映画の世界観に引きずり込まれます。前作と比べて特に進化しているのは映像、効果音と楽曲がひとつの世界観を作るべく同化してるところです。
特にクライマックス近辺でのカーチェイスのシークエンスではジェット音とエンジン音と音楽が相乗効果的に鳴り響き、まさにジェットコースター状態の迫力です。本当に楽曲と効果音の境目がわからず、ただただ音の坩堝に巻き込まれるような感覚になるのです。
あとで調べてみたエンジニアのAlan Meyersonへのインタビューによると本編全体で4000にも及ぶトラックを使っていて、例えばあるシーンのオーケストラで40トラック、別録りしたパーカッションで20トラックなど大小のグループがたくさんあり、それらと、これまた複数のSEのグループを同列にMAでミックスしていき、長大な一つの楽曲として構築していったとのことです。それが5.1ch分ということなら4000トラックも頷けますね。
一昨年アカデミー作曲賞を受賞したソーシャル・ネットワークという映画ではトレント・レズナーはデジタルノイズと電子音が交錯する楽曲でサイバー空間での交流のシーンを表現していましたが、映画の中ではどうにも安っぽくなってしまい浮いてるように感じました。
音楽のスタイルとしては正統的なオーガニックサウンドを中心にしながらも、より映像や効果音と同化するべく膨大な労力と高度なテクニックを駆使するという方向性は自分にはより先進的に思えます。

SoundWorks Collection - The Sound and Music of The Dark Knight Rises from Michael Coleman on Vimeo.




それとハンス・ジマーは自分が唯一使用しているヴァーチャルシンセ。いわゆるコンピュータのソフトシンセとしてu-heのZebra2をあげているのですが、最近u-heからダークナイトシリーズのためにジマーとサウンドデザイナーのHaward Scarrが作った音全てを含んだプリセットライブラリーとしてThe Dark Zebraがリリースされてます。
Zebraは何を隠そう自分も相当な高頻度で以前から制作に使っております。数年前ですが、Blassreiterというアニメ作品に提供した「Blood Infection」という楽曲ではほとんどの構成音をZebraで作りました。このタイプのソフトシンセはほぼ無制限にエンベロープが書けることで細かい音の揺れや動き、スピード感が出せることが魅力です。



追記
上記で引用してるレクイエム・フォー・ドリームですが作曲者のクリント・マンセルはなんと元Pop will eat itselfのボーカリストでした。もう今や知らない人の方が多いと思いますが、90年代初頭に活躍したデジロックの先駆けで、歌詞の内容や悪ふざけのタイトルのせいでおバカなイメージでとらえられてたバンドです。最近の作品ではブラック・スワンを手がけてますね。何があるかわからんもんです。


合同誕生日会

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今日は誕生日が近い三人がなぜかうちにきて祝いあうというなぞの合同誕生日会でした。左からd.v.d相対性理論で活躍中のイトケン、今回初対面のシンガーソングライターTamuraryoさん、サウンド&レコーディング・マガジンで執筆量を増殖し続けるアーティスト/エンジニアのKangaroo Pawこと中村公輔くん。で自分。
なぜか二年ごとに開かれるナゾの会合。音楽の込み入った話は無し。長い付き合いながら普段の接点が少ないからか、ユルユルの寝ぼけた会話ばかり。そこがまたいとたのし。とはいえみんな無謀及び非常識レベルのバイタリティの持ち主なので場をともにするだけで色々と触発されました。今日得た一番の教訓は「終電逃しの術には気を付けるべし」でした。(なぞ)

カメラの設定がうまくできず今回も解像度の低い写真をインスタグラムぽい加工でごまかしています。次回こそ!

tamuraryo/Excuses to be forgiven (Recording and Mix by Kangaroo Paw)


バンドリハ

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ベルリン

ひと通り目前の作業を終えたので、今日は海外分の印税の事務処理のために銀行に行ってきたのですが、五十日だからかボーナス支給日だからかものすごい込み方だったので、渋谷ジュンク堂で「CITY BOOK OF BERLIN」という本を買ってきて読んでいました。

『CITY BOOK OF BERLIN 現地クリエイターが教えてくれたベルリンの遊び方』

いまはユーロ危機のまっただ中ですが、ユーロ安で一人勝ちしてるドイツの中でも特にベルリンは盛り上がってるそうです。
物価が高くなって住みづらくなったマンハッタンやブルックリンのミュージシャンがベルリンに引っ越すいう話は数年前から聞いてましたが、ついにこの手の観光ガイドまで出るほど人気がでてきたという事でしょうか。
特にクラブに関してはガイド本では記述が少ないのですが、この本ではベルクハインについての個別の紹介欄がありなかなか貴重な情報が得られます。
実際に行くかどうかに関わらず、よくできた旅行ガイドを読むのはとても楽しいです。ロンリープラネットももう少し日本語訳版の種類が増えてくれるといいんですがね〜。
あっ、それと先日のNo Nukes 2012で「You Lie , We Die」という強烈なインパクトの映像とサウンドロゴが披露されたカールステン・ニコライのインタビューも掲載されていましたよ。この人もNYを引き払ってベルリンに移ったんだそうです。

DIAMOND VERSION - Message for NO NUKES 2012



追記
GEMA(ドイツの著作権協会)がクラブに対して楽曲使用料を10倍に引き上げることが決まっていて、今それに対する反対運動が起きているそうです。これが実際に施行されるとベルグハインほかベルリンのクラブは経営が立ち行かなくなる所もでてくる。どこの国も似たような問題を抱えていますね。

立ち上げ

サイトを立ち上げました。
はじめて来られた方は一応Biographyのページを自己紹介代わりにみていただくとして、要するに作曲したり、コンピュータで音の打ち込みをしたり楽器の演奏を録音したりして生計を立てている輩です。「少しこだわりのある町工場」の様な気持ちで仕事しています。
ただし町工場と言えども昨今はただ無骨に製品を作っているだけでは生き残れない時代になってしまったので、この場から色んな事、色んな音などを興味を持っていただけた方にお伝えできればと思います。

他のページはかしこまった作りにしたのでここだけは緩めに、気軽に書いていきます。どうぞお付き合い下さい!ではでは〜。
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