先週は以前お伝えしたRock In Opposition Japanというロックフェスで演奏してきました。二日間にわたって世界各国の多彩なアーティストの演奏が楽しめるイベントで、出演者としてはもちろんですが、オーディエンスとしても楽しみにしていました。自分たちの演奏は二日目でしたがまずは初日のレポートを。
The Artaud Beats
大ベテラン、イギリスの伝説的なグループHenry Cowのリーダーとして有名なChris Cutlerのドラミングが一番の見所でした。かなりアブストラクトな曲で演奏も恐らくインプロが主体だったと思います。Cutler氏の演奏はドラムと言うよりは何か絵を描いているような動作で、スティックのあらゆる部分を使ってドラムセットのあらゆる部分を叩くというアプローチで、実に多彩を音を出して表現していました。
る*しろう
日本人アーティストのトリオバンド。ピアノ、ギター、ドラムスというちょっと変わった編成です。事前に抱いていた印象では音量小さめで複雑な楽曲と演奏テクニックを聞かせてくれるバンドかなと思っていたのですが、実際に見ると全然違ってかなり迫力のある演奏でした。お客さんをのせる術もバッチリで大盛り上がりでした。
Richard Pinhas
70年代後半からフランスで活躍したHeldonというバンドの中心人物で、現在はギターのソロパフォーマンスを中心に活動している方です。ギターのソロパフォーマンスというと最近ではルーパーを使ったひとり多重録音的な演奏がはやっていますが、Pinhas氏の演奏はそれとは違いアンビエント的なものでした。エフェクトもフットペダルをずらっと並べるようなものでなくメインとなっていたのは3Uのデジタルマルチエフェクターでした。自分はプログレのバンドやってますがプログレの文脈にはあまり精通してないので、あえて例えるとすると90年代のMy Bloody ValentineやSeefeelのようなシューゲーザーの進化系に極めて近い音で、これはかなり楽しめました。
高円寺百景
様々なプロジェクトで活躍するドラマー吉田達也さんが中心となって90年代から活動しているバンドです。90年代当時も数回ライブをみたことがあるのですが、当時とはメンバーも演奏も音楽スタイルもかなり変わっていました。当時よりも洗練されていて、楽曲も完全に独自のスタイルに発展していると思いましたが「これぞプログレ!」と思わせるような部分も随所にあり、しかも演奏はキレッキレの素晴らしさ。70分ほどの演奏でしたが、あっという間に終わったように感じました。
Picchio dal Pozzo
イタリアで70年代から活動しているという、これも大ベテランのバンド。鍵盤が二人、管楽器、ドラムス、パーカッション、ギター、ベース、映像担当という変わった8人編成でした。ギターの人はアンプを使わずにPCに突っ込んでプロセッシングした音をラインで出していました。いわゆるロックっぽいテイストはほとんどなくライトな映画音楽の様な雰囲気です。それと全員が色々と楽器を持ち替えたり、遊び心満載のアイデアを取り入れた演奏でした。映像とのシンクもとてもおもしろく、おそらく日本に到着してから撮影したと思われる寿司屋の内部を撮影した映像を加工したり、曲中にバックでオーケストラの指揮者が指揮をしている映像をマニュアルで演奏に合わせて動かしたり、政治的なメッセージを帯びた映像をシニカルに表現したりと、全てのアプローチが洗練されていてカッコ良かったです。サウンド的にはPenguin Cafe Orchestraのような感じに近いと思いました。映像は今年バルセロナでみたMassive Attackよりもおもしろかったと思います。一番期待していたこのアーティストが予想を超える素晴らしいライブで大満足の一日目でした。
早速オフィシャルのYoutubeチャンネルに当日の映像がアップされてました!カッコイイ!!
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Cocco-Japan HD Picchio dal Pozzo official YouTube Channel
Cocco-Japan HD Picchio dal Pozzo official YouTube Channel