Takahiro Izutani

OTAKON 2022 その2

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初日の個人パネルを終え、そのあとはメディアの取材を4件ほどこなしました。全てゲーム業界向けのウェブメディアだったのですが、中には自分の父親が南米ラテン音楽のマニアで自分が子供の頃から日々そういう音楽を聞かされて育ったことを調べてきて、そのことと今制作しているゲーム音楽にはなにか関連性が生まれているかという質問をしてきたインタビュワーの方もいました。その事自体は事実なのですがどこで知ったのか、実に入念な下調べだなと感心することしきり。

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さらにその後は同行したもうひとりのゲスト藤田晴海さんのパネルへ。藤田さんは元CAPCOMの作曲家でファミコン時代のロックマンシリーズの作曲をされてきた方で、いまやレトロゲームブームの立役者として世界中で大人気のレジェンドです。このパネルでは軽く自己紹介や近況報告などをされたのちにすぐQ&Aがはじめられましたが、一時間ひっきりなしに質問用のマイクの前に立つオーディエンスが途切れませんでした。藤田さんいわく、海外のファンイベントではどこでもファンの方からの質問が絶えないのであえてQ&Aに特化した形式にしているそうです。それにしてもファミコン創世記のゲーム業界の話、3音ポリで制作していた頃のゲーム音楽の話、PlayStation1の登場によってそれまで仕事の付き合いがあった8社のゲーム制作会社が全て倒産した話など、興味深い話が満載で、これは得られる情報が少ないアメリカのファンには垂涎の話なのだろうなと納得する次第でした。OTAKONの会場ではオーディエンスだけでなくスタッフの方々や取材メディアの方まで藤田さんと打ち合わせしたあとに「あの実は私ロックマン2の〜ステージの曲の大ファンです」などとカミングアウトさながらに声がけする方が多いのがとても印象的でした。初日はこのあとサイン会を行って終了。

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パネル2日目は自分と藤田さん二人並んでのコンポーザーズパネルを行いました。前日のゲームファン向けの内容からは少し音楽制作よりに突っ込んだ内容で行うという触れ込みにしてあったのですが、ここの会場に集まっていただいた方々は挙手による調査だと7割ほどが何らかの形で音楽活動をしているミュージシャン、うち3割ほどが作曲家、1割弱ほどがサウンドデザイナーとのことでなかなか音楽的に突っ込んだQ&Aセッションになりました。皆さん非常に熱心でこちらも質問の列が途切れることがなく60分強のパネルを終えました。

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このあとさらに2回目のサイン会を行って今回の全ての任務終了となりましたが、日本から来た他のゲストにはファンの方々は「さん付け」でうやうやしく呼ぶことが大半なのになぜか自分にはみんな「Hey! Takahiro!」とメッチャ軽く入ってくるひとばかりなのは何なんだろうと思いましたw

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今回のOTAKONではゲストの一人一人に通訳と称してアテンドがつけられていて待ち時間やフリーの時間にどこかへ出掛けるとしても常にお付きとして帯同してもらい、交通費、美術館の入場費、レストランの代金などを全て払ってもらえるというシステムになっていました。イベントの運営資金は基本的に入場料が最も大きい割合を占めているとのことですが、3年ぶりのリアル会場での開催ということもあってか35000枚のチケットが売れ、さらにはマーチャンダイズやスポンサーからの収入で運営規模は数億円にも登るそうです。もはやこのレベルだと企業経営みたいなものですね。

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通訳の方は基本ボランティアですが、皆さん優秀な方ばかりで普段の仕事はMeta (Facebook)でWhat's App部門の課長をされてたり、大学卒業後すぐ製薬会社のコンサルをされてたり、イベントの統括をされてた方はJohnson&Johnsonでワクチン開発部門のトップとして働かれてたりと、皆さんそうそうたるキャリアの持ち主でした。こう言ったボランティアの方々と専従で働いているスタッフで一年かけてこの様な巨大なイベントを作り上げてるのかと納得した次第です。ちなみにこのあと観光で訪れた美術館にもMetaの課長さんに帯同していただき全ての面倒を見ていただきました。ちょっとひとりで気軽に行動したいなと思っても「これが仕事ですので」と言われると断ることも出来ず、皇族の方々のお気持ちはこんな感じなのかなとふと感じました。