Takahiro Izutani

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イヤホンを変えてみました。

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先日、普段使用しているイヤホンをEtymotic ER4Sから、昨年同社が11年ぶりに新しくフラッグシップとして販売開始したER4SRに変えてみました。イヤホンに関しては以前に二子玉川の蔦屋家電の視聴コーナーでほとんどの製品を試してみても自分にとっては荒々しすぎる音のものしかなく、EtymoticかSonyのMDR-EX800ST以外の選択肢は考えられなかったのですが、MDR-EX800STはすでに普段から使用している定番スタジオヘッドフォンのMDR-CD900STと同傾向ということで、最終的には今回もエティモを選んでみました。ER4SとER4SRは似たような製品名にもかかわらず音の印象としてはかなり異なります。個々の楽器の定位と奥行きをハッキリと把握できながらも極めてクールで地味、録音された音をただただ測定器の様にシンプルに再現していたER4Sに比べてER4SRはグッと前にせりでた音で広がりもあり、ちょっとしたバウンシーで躍動的な色付けすらも感じるという、いわゆる「カッコいい洋楽のミックス」の音になります。普段音楽を楽しむなら断然ER4SRかなと思いますが、全く色付けのないリファレンス用に使えるイヤホンとしてER4Sの価値もさらに高まったと思います。


Ecovanavoceとのコラボレーション

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Dugo / Lingua Francaではイタリアの古楽器奏者アーティストEcovanavoceとも2曲コラボレートしています。彼らとの共同制作は以前にもブログで紹介したことがありますが。今回のDugoのアルバムに収録されたのはそのうちの1曲と、もう1曲はDugoの旧曲を彼らとリアレンジして新しい曲として再構築したものです。

Ecovanavoceというのはいわゆる回文の造語で、彼らいわく古代と現代、西洋と東洋など全く異なる文化の接点になるような音楽性を模索していくプロジェクトだとのことです。ゆえに今では現存しないイタリア及び地中海周辺の古楽器をリイシューし、コンセプトはそのままに現代の楽器として生まれ変わらせ、音楽スタイルも伝統的なスタイルを踏襲しつつ現代的なサウンドアプローチで再現することを目的としています。モダンな音楽を志向する日本人でありながらも欧州の伝統的な音楽への強い興味を持つ自分とは実に波長が合う関係で、彼らにしてみたらまさに自分は彼らの足りないピースにピタッとはまる存在だったのかも知れません。彼らとはLingua Francaの完成後も地道に共同制作を続けており、今年はその成果がイタリアのかなりメジャーなフィールドで形にできるという勝負どころの段階になってきています。彼らとの最初の接点はSoundcouldでしたが、そんなネット上のただの偶然によって生まれた関係性が後々にお互いのキャリアに大きく影響していく時代なんですね。




Sol Ponienteのコラボレイター

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ソロアルバム、Dugo / Lingua Francaは数人のアーティストとのコラボレート、というより彼らがある意味、自分の尻を押してくれたことによって結実した作品なんです。Sol Ponienteという曲でテーマのヴァイオリンを弾いてくれたMonicaは、元はと言えばLanguage Exchangeのウェブサイトから自分のプロフィールに興味をもって連絡してきてくれたという僕の英語の先生ですw まず最初に彼女が言ったのは「あなたがハイレベルな英語学習をしたいのなら、どんな英語教師よりも私が最適よ。なぜなら私は幼児の時からのbibliophage(読書狂)だから」ということでしたw また家族兄弟のうち7人がミュージシャンという彼女は2歳からヴァイオリンを始め現在はオーケストラ、チェンバーアンサンブルからジャズまで、カナダとアメリカを中心に幅広く活動をしています。

彼女は自分への英語のレッスンでは、例えばまず全く違うジャンルの好きな曲を5曲あげさせてそのどこが好きなのかを説明させ、かつその5曲に共通する要素をあげて説明させるという様な、なかなか自分のレベルでは難しい出題形式で訓練してくれました。ですがSkypeを通じて互いに呑みながらの雑談ではお互いの学生時代のバカ話などで盛り上がり、そのうち自然に一緒に1曲作ろうということになったのでした。彼女の人物像に対して持っている自分のイメージをテーマのメロディで具現化した曲、それがSol Ponienteという曲です。これはスペイン語ですが、英語だとSetting Sun、日本語だと「暮れゆく太陽」という意味です。

モニタリング環境をアップデート。

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Dugoのアルバム制作が遅れながらもようやく終盤にさしかかってきたので、ここでより正確なミックスチェックの環境を作ってみたいと思いメインのモニタースピーカーとして新たにBarefoot Sound Micromain 27を、サブとしてKSdigital C5-Coaxを導入してみました。自分でミックスまでやって完結するプロジェクトの場合にいつも悩みになっていたのが低音の処理でした。散々綿密にチェックしたつもりでもマスタリングスタジオにいって確認すると自宅スタジオでは見つけられなかった低音のピークがわかったりすることがあったからです。ラージモニターでないと把握できないような低音域の状況を、ミッドフィールドクラスなのにもかかわらずこのBarefootのスピーカーではかなり正確にチェックできます。しかもかなり小さな音量で聴いても帯域のバランスが変わらないので作業スペースの防音や吸音をさほど気にしなくても十分その機能の恩恵が受けられるのが素晴らしいです。

新しいモニター環境になったので慣れるために色々な曲をリファレンスで聴いてみましたが、今までに何百回ときいてきたような曲でも全く異なる印象に変わるものもありました。うまく説明できないんですが一般的なモニタースピーカーの上位互換として機能するチェックマシンの様な感じです。本質的にバランスの良いミックスのものは以前と同じ様に聴けるんですが、突出した部分があったりバランスのおかしいものに関してはそれまでは気が付かなかった問題点をハッキリと提示してくれます。それと30hz近辺の帯域で何が起こっているのかは一般的なニアフィールドのモニターではほとんど確認できてないんだなということが良くわかりました。また色々な曲をリファレンスで聴いているとその辺りの超低域でミックスの工夫を凝らしている曲は全体としても素晴らしいミックスになっている曲がとても多いです。特に最近気に入っているAdele「25」とJustin Bieber「Purpose」 は音の全体像の作り方のアイデアとテクニックの素晴らしさを確認でき、あらためて得られるものが多々ありました。この2枚はまさに「2016年の最新の音」と言うにふさわしい驚異的な作品だと思います。(リリースされたのは去年でしたっけ?)

また今回DAコンバータのLavry DA11からのケーブルもいくつか試してみた後に今まで使用していたBelden 8412から今回はGotham GAC-4/1にしてみました。これまではさほど気になっていなかったケーブルごとの音質の差も今はかなりはっきりとわかってしまいます。様々な楽曲をリファレンスする際に8412ではかなり下の帯域で突然持ち上がるピークがあってそこだけが分離したように聞こえてしまうということがありました。以前にギターのケーブルで試した際にもこの感じが肌にあわずに止めたことがあります。Gothamケーブルだとローミッドからサブベースまでが素直に繋がっているように聞こえます。

KSdigitalの方は迷った時の確認用のサブとしての用途です。長いこと同軸のTannoy Precisionををメインにしてきたので、同軸のニアフィールドで比較的新しい製品の中からこれを選んでみました。こちらもスピーカーのサイズの割にはかなりワイドレンジで奥行きもよく見えます。Barefootで大きな全体像を確認してKSDigitalでもっと近寄った状況での音像を確認する感じです。ただこちらはなぜか電源を入れてからしばらくは低音の出方が暴れて落ち着かないのでちょっとまだ戸惑っていますw まだまだどちらとも設置の仕方から試行錯誤中ですが今のところとてもいい感触がつかめています

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スピーカー両サイドにサブウーファーがあり、全部で5ドライブユニットという個性的なコンセプトです


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スピーカー口径5インチながらかなりワイドレンジです。


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両機種とも国内電圧向けのローカライズがされていないので117vに変換するステップアップトランスのCSE ST-500もついでに組み込んでみました。


Barefoot Sound's Masters Of The Craft

ヨーロッパ・ツアー 3 FreakShow ヴュルツブルク

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ツアー最終日はドイツのヴュルツブルクに移動してFreakShow Artrock Festivalに出演です。今回のヴェニューはサッカー場に併設されたホールを借りきって使っているので広めの会議室が楽屋になっており、そこから食堂と客席、ステージのまわりにかけて常にオーディエンスがウロウロしてる中でのサウンドチェック。で、用意ができたら即演奏という超ラフなスタイル。機材のセッティングをしながらも話しかけてくるお客さんと世間話したりというなかなか経験できない状況でしたw 今回のツアーを通じて全ての会場がいわゆる営利目的の常設されたものがひとつもなく、イベンター、オーガナイザーのDIYの精神が強く反映されたものばかりなのはとても印象深かったです。また今回のFreakshowはいわゆるフェスとしてはとても小さい規模で、かつオーガナイザー、アクト、オーディエンスが全く対等な立場で接する場になっており、それぞれの立場の人達がみな少しづつ協力し、少しづつ責任を果たしながら全員が少しの利益と大きな喜びを得られる場にしようとしているのがとても素晴らしいと思いました。

今回は僕ら以外は全てヨーロッパ出身のアーティストでしたが、先週のRIOからそのまま移動してきたバンドや、メンバーが入れ替わった別ユニットとしてRIOから移動してきた人もいました。アヴァンロック、プログレのマーケットは世界中にあるとはいえ当然とても小さいものです、しかしながら世界各国に猛烈にマニアックかつ熱狂的なファンの方々がおり、彼らがネットワークを作り遠隔ながらも強固なコミュニティを形成することでアーティストが持続的に活動することを可能にしているんです。これだけCDのマーケットが縮小するなか。今回のたった3回のHFのライブではCDもTシャツも飛ぶように売れており、かつ多くのファンがCDにサインを求めてきてくれました。また「アナログは作らないのか?」というのも何回も聞かれました。

HFが所属するアメリカのCuneiform Recordsは設立から30年、アヴァンギャルド系の音楽ばかり数百タイトルをリリースして今なお安定したセールスを保っているのはこうした強固なネットワークとコミュニティのお陰なんだろうと身を持って知ることができました。それともうひとつ日本の状況と違うのは芸術活動に対する政府からの助成金です。イタリアなどではどんどんカットされる方向にあるそうなのですが、まだドイツ、フランスでは大きなサポート力があるようです。その代わりに著作権管理団体の影響力もかなり強いらしく今回行ったすべての会場でフランスSACEM、ドイツGEMAにそれぞれ全ての演奏曲と作曲者を報告する提出書を作成しました。また売り上げにかかる源泉徴収率も日本よりも遥かに高いようでした。

総括して日本の状況と最も違うと思ったのはバランスのとれた成熟さというところでしょうか。日本のライブシーンはまだまだ若い感覚で動いているシーンで「こういう形でなければダメなんだ」という真面目さが良くも悪くも強いのかなと思いました。もう到底若いとは言えない自分にとってはヨーロッパのシーンはちょっと居心地の良いシーンかも知れないと思えましたw
真ん中がオーガナイザーのチャーリーさん。60過ぎの超ファンキーなオッサンでしたw

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ヴュルツブルクの旧市街は今まで行ったことのあるヨーロッパの街の中でも屈指の美しさ。戦争でほとんど崩壊した街並みを後にそっくりそのままに再現したんだそうです。