Takahiro Izutani

楽曲の完成にどのくらいの期間、時間をかけるべきか?


12/30にDugoの"Early Works"EPがリリースになりました。以下のSpotifyリンクからお聴きになってみてください。

"Early Works"EP by Dugo

今回のEPはファーストアルバムの"Lingua Franca"以前に制作した未発表曲を集めたもので、最終的な完成の時期はまちまちなのですが、最初のデモが完成したのはもう15年ほど前になります。これほど古い音源をまさか2021年にリリースすることになるとは思いませんでしたが、リリースの限界費用が限りなくゼロになったストリーミングの時代、かつロングテール戦略が当たり前になった今やカタログに加えない理由は何もないので多少のマスタリング的なお化粧直しとカバーフォトを加えて今回リリースすることにしました。

当時の自分はJ-Popのアレンジャー、トラックメーカーとしての仕事がメインで、歌ものへのアプローチが上手くできず苦心していたおり、基礎研究的に自分自身のための音楽制作も同時並行しようと思いDugoという名前をつけてトラック制作を始めたのでした。中にはMac OS9から書き出して完成させたトラックもありますが、意外なほどにさほど音質的な隔世感はないと感じています。完成の時期はまちまちと書きましたが、これらの中には3日程度で完成させたものから、一年以上かけて完成したものまであります。

自分は楽曲制作を「ゴールを探してさまよう旅」の様なものだととらえています。それはある曲では最初のアイデアがどんどん変化していき、全く予想もつかなかった形で完成したり、一瞬で思いついたアイデアを集中して一気に短時間で完成させたり、はたまた数週間、数ヶ月おきに制作して数年かけて完成したりと、完成までの道のりやその間のトラブルはその時々、曲ごとに全く異なる経過を辿るからです。そして旅のさなかに出会うひとや初めて見る風景に影響を受けたり、その旅路で自分自身との対話を経てクリエイターとして成長できることもあります。またこれら完成したものの裏では旅の途中で行き止まりにハマって戻れなくなってしまい頓挫した楽曲が山のように積み上がっています。

"Early Works"の楽曲達は相当以前に形にはなっていましたが、結局は今回のリリースによってようやく長い長い旅を終えたことになります。以前に自分のデモ音源として頻繁に配っていた時期もあるので、もうすでにお聴きになられた方もいらっしゃるかも知れません。自分にとっては今回のリリースはそんな風にしてデモ音源を受け取っていただきお世話になった方々のことを思い出す様な懐かしい機会にもなっています。

最近の自分の制作プロセスは多くの複数の楽曲を同時に進めておいて、それぞれに対してふと閃いたアイデアをその時々で加えていくというものです。上でも書いた様にとにかくリリースの限界費用がほぼゼロなので例え80%の出来でも試しにどんどんリリースしたりして、多くの人の耳に触れる機会を増やすのが重要です。またSpotifyのアルゴリズム的にもこの「チャレンジする回数」というのは大きく関わってきます。もちろん一曲に対してドップリと集中して取り掛かるのもそれはそれで必要な時がありますが、今の時代はまずは楽曲数を増やしていくのが良いと思います。

また場合によっては後々それらをアップデートしたものに差し替えるようなことすら可能です。例えば今回のEarly Works EPの中ではSugar Roadというトラックはかつてひとまずは完成した後に、イタリアの古楽器で現代的な楽曲を制作して活動しているEcovanavoceというクラシックの音楽家集団とのコラボレーションを経てDugoのファーストアルバムにGliding Birdというタイトルでアップデートバージョンとして収録されています。とにかくまずは初期段階のアイデアを大量に集めておいて同時進行で進めていき、決定的な閃きが降りてくる「その時」まで手を変え品を変えて創作の手を動かし続けるのが良いと思います。

そんなこともあってDugoは何とか新曲制作の方も完成したものが積み上がってきています。次回のリリースはまだどういう形にするか検討しているところなのですが、できればアルバムとしてまとまった分量でお聴きいただける形を目指しています。

来年も聴いていただける皆さんにポジティブな貢献できるような音楽を精一杯お届けしていこうと思います!

それではよいお年を。