Takahiro Izutani

ヨーロッパ・ツアー 3 FreakShow ヴュルツブルク

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ツアー最終日はドイツのヴュルツブルクに移動してFreakShow Artrock Festivalに出演です。今回のヴェニューはサッカー場に併設されたホールを借りきって使っているので広めの会議室が楽屋になっており、そこから食堂と客席、ステージのまわりにかけて常にオーディエンスがウロウロしてる中でのサウンドチェック。で、用意ができたら即演奏という超ラフなスタイル。機材のセッティングをしながらも話しかけてくるお客さんと世間話したりというなかなか経験できない状況でしたw 今回のツアーを通じて全ての会場がいわゆる営利目的の常設されたものがひとつもなく、イベンター、オーガナイザーのDIYの精神が強く反映されたものばかりなのはとても印象深かったです。また今回のFreakshowはいわゆるフェスとしてはとても小さい規模で、かつオーガナイザー、アクト、オーディエンスが全く対等な立場で接する場になっており、それぞれの立場の人達がみな少しづつ協力し、少しづつ責任を果たしながら全員が少しの利益と大きな喜びを得られる場にしようとしているのがとても素晴らしいと思いました。

今回は僕ら以外は全てヨーロッパ出身のアーティストでしたが、先週のRIOからそのまま移動してきたバンドや、メンバーが入れ替わった別ユニットとしてRIOから移動してきた人もいました。アヴァンロック、プログレのマーケットは世界中にあるとはいえ当然とても小さいものです、しかしながら世界各国に猛烈にマニアックかつ熱狂的なファンの方々がおり、彼らがネットワークを作り遠隔ながらも強固なコミュニティを形成することでアーティストが持続的に活動することを可能にしているんです。これだけCDのマーケットが縮小するなか。今回のたった3回のHFのライブではCDもTシャツも飛ぶように売れており、かつ多くのファンがCDにサインを求めてきてくれました。また「アナログは作らないのか?」というのも何回も聞かれました。

HFが所属するアメリカのCuneiform Recordsは設立から30年、アヴァンギャルド系の音楽ばかり数百タイトルをリリースして今なお安定したセールスを保っているのはこうした強固なネットワークとコミュニティのお陰なんだろうと身を持って知ることができました。それともうひとつ日本の状況と違うのは芸術活動に対する政府からの助成金です。イタリアなどではどんどんカットされる方向にあるそうなのですが、まだドイツ、フランスでは大きなサポート力があるようです。その代わりに著作権管理団体の影響力もかなり強いらしく今回行ったすべての会場でフランスSACEM、ドイツGEMAにそれぞれ全ての演奏曲と作曲者を報告する提出書を作成しました。また売り上げにかかる源泉徴収率も日本よりも遥かに高いようでした。

総括して日本の状況と最も違うと思ったのはバランスのとれた成熟さというところでしょうか。日本のライブシーンはまだまだ若い感覚で動いているシーンで「こういう形でなければダメなんだ」という真面目さが良くも悪くも強いのかなと思いました。もう到底若いとは言えない自分にとってはヨーロッパのシーンはちょっと居心地の良いシーンかも知れないと思えましたw
真ん中がオーガナイザーのチャーリーさん。60過ぎの超ファンキーなオッサンでしたw

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ヴュルツブルクの旧市街は今まで行ったことのあるヨーロッパの街の中でも屈指の美しさ。戦争でほとんど崩壊した街並みを後にそっくりそのままに再現したんだそうです。