Takahiro Izutani

SoundCloud

Ecovanavoceとのコラボレーション

DSC02645.JPG

Dugo / Lingua Francaではイタリアの古楽器奏者アーティストEcovanavoceとも2曲コラボレートしています。彼らとの共同制作は以前にもブログで紹介したことがありますが。今回のDugoのアルバムに収録されたのはそのうちの1曲と、もう1曲はDugoの旧曲を彼らとリアレンジして新しい曲として再構築したものです。

Ecovanavoceというのはいわゆる回文の造語で、彼らいわく古代と現代、西洋と東洋など全く異なる文化の接点になるような音楽性を模索していくプロジェクトだとのことです。ゆえに今では現存しないイタリア及び地中海周辺の古楽器をリイシューし、コンセプトはそのままに現代の楽器として生まれ変わらせ、音楽スタイルも伝統的なスタイルを踏襲しつつ現代的なサウンドアプローチで再現することを目的としています。モダンな音楽を志向する日本人でありながらも欧州の伝統的な音楽への強い興味を持つ自分とは実に波長が合う関係で、彼らにしてみたらまさに自分は彼らの足りないピースにピタッとはまる存在だったのかも知れません。彼らとはLingua Francaの完成後も地道に共同制作を続けており、今年はその成果がイタリアのかなりメジャーなフィールドで形にできるという勝負どころの段階になってきています。彼らとの最初の接点はSoundcouldでしたが、そんなネット上のただの偶然によって生まれた関係性が後々にお互いのキャリアに大きく影響していく時代なんですね。




Production Music Libraryについて

Full_Werks_Edited.jpg

Full Werks Musik

このサイトからもご覧にになれますようにいくつかの楽曲をSoundcloudにアップしていますが、最近このSoundcloud経由で海外のProduction Music Libraryの会社から楽曲を委託しないかという勧誘のメールが頻繁にくるようになりました。というわけでまずはコンポーザーとして個別にプロモーションを提供してくれるという一社と契約してみました。

いわゆる著作権フリーの楽曲を期間を決めて使用料をとってレンタルするというものですが、最近では規模、システムともにかなり多様化しているようです。たとえばドラマやドキュメンタリーの音楽をつける際に重要なシーンやテーマ曲に関してはカスタムメイドで音楽を発注してもらい、さほど重要度の高くないシーンやちょっとした絵合わせにはライブラリーにアップされている同じ作家の既存曲から使用してもらうというパターンもあるようです。(尺変更のみ対応するようです)この様な作曲の受注とレンタルの組み合わせでバジェットを圧縮して対応するシステムは実にうまいと思いました。さらにこのシステムの中にはMusical Supervisorが介入して自社の楽曲群から対象のプロジェクトに対してどの作風がマッチするかをアドバイスしたり、既存の有名楽曲の使用許諾を得る手続きを行う代行サービスまで含まれているようです。作曲、編曲、選曲、コーディネートの複合的なサービスとして展開してるんですね。欧米人らしい究極の効率化だと思います。

自分の様にゲームやメディア・コンテンツ系のインスト曲を作っているコンポーザーだと各プロジェクトごとの制作過程で結構大量の不採用曲が生まれてしまうのですが、これらは品質的に劣っているというわけではなくても単にクライアントのテイストにあわなかっただけのものもあるので何とかブラッシュアップして再利用できないかと思ってたんですね。楽曲制作は時間との勝負でもあり、また時間をかけて作った楽曲はそのままコンポーザーにとっての資産でもあります。単なるボツ曲を利益を生み出す資産として活用できるならそれに越した事はないという事です。


大手の会社だとこんな人達も提携してるようです

Bill Bruford  Nik Kershaw Evelyn Glennie

Extreme Music 超最大手で超有名人がごろごろ。ハンス・ジマーやらブライアン・タイラーやらまで。

Nitin Sawhneyのインタビューです。90年代にテクノシーンで一旗あげたひと達は現在結構このテリトリーに進出してるようです。

Universal Publishing Production Music - BBC Production Music - Nitin Sawhney Interview 

ダークナイトの音楽

P1040080 copy2.jpg
先日IMAX109シネマズにかねてから楽しみにしていたダークナイト・ライジングを見に行ってきました。
このシリーズは映画としての完成度はもとより前作において革命的な音響手法を用いた映画音楽が作られた事で多方面の音楽制作者から大注目されています。


前作ダークナイトのサントラの一曲目「Why So Serious」です。素材としてオーケストラ楽器を基本にはしていますが、それらは断片としてブツ切りにされてミニマリスティックな楽曲の要素として再構成されています。
特に自分にとって衝撃的だったのはエレキベースかと思われる音のグリスアップのあと3.:27からの部分。ここはヘッドフォンで聴いてたりするといまいち地味でよくわからないんですが、ほとんど可聴帯域以下の低音だけが鳴っており自分が最初に聴いた時には自宅スタジオのモニターでかなりの爆音で聴いてたので突然この部分がカットインした瞬間になにか天変地異でも起こったかのように部屋が地響きたてて震えだしたのです。
この手の極端なフィルタリングを使ったブレイクは昨今のダブステップなどにはよく聞かれますがオケ系の映画音楽でここまで大胆に使われたのは初めてではないかと思います。
自分はここ10年くらいの映画音楽は割りとチェックしていまして、ダークナイトより数年前にオーケストラ楽器でのミニマル・ミュージックを取り入れた映画でレクイエム・フォー・ドリームという名作がありました。
クロノス・カルテットが演奏する悲壮感をまといつつ淡々とした楽曲はストーリー展開やシーンとの音との合わせ方という点でこの作品はダークナイトととても近いです。ひょっとしてハンス・ジマーはレクイエム~から多少のヒントを得てるんじゃないかと勝手に思ってます。
ですがこの「Why So Serious」はもう楽曲単体として革命的で、それ以前にはなかった音楽です。なんでも楽曲のキューシートには作曲者のハンス・ジマー、ジェームス・ニュートン・ハワードの他に3人のサウンド・デザイナーの名前が記されているそうで、セッションの中でどんなエディットが行われたのか非常に興味深いです。

そんな前置きもあって見に行ったダークナイト・ライジングですが、実際に映画を見る前にサントラで音だけは聴いており、今回は前作ほどの衝撃的な音楽ではなくダークアンビエント的な重厚さを持ちながらも割りと正統的な音楽という印象を受けていました。
が、実際に映画を見るとサントラで聴いた時の印象とは大きく異なる迫力があり、映画の世界観に引きずり込まれます。前作と比べて特に進化しているのは映像、効果音と楽曲がひとつの世界観を作るべく同化してるところです。
特にクライマックス近辺でのカーチェイスのシークエンスではジェット音とエンジン音と音楽が相乗効果的に鳴り響き、まさにジェットコースター状態の迫力です。本当に楽曲と効果音の境目がわからず、ただただ音の坩堝に巻き込まれるような感覚になるのです。
あとで調べてみたエンジニアのAlan Meyersonへのインタビューによると本編全体で4000にも及ぶトラックを使っていて、例えばあるシーンのオーケストラで40トラック、別録りしたパーカッションで20トラックなど大小のグループがたくさんあり、それらと、これまた複数のSEのグループを同列にMAでミックスしていき、長大な一つの楽曲として構築していったとのことです。それが5.1ch分ということなら4000トラックも頷けますね。
一昨年アカデミー作曲賞を受賞したソーシャル・ネットワークという映画ではトレント・レズナーはデジタルノイズと電子音が交錯する楽曲でサイバー空間での交流のシーンを表現していましたが、映画の中ではどうにも安っぽくなってしまい浮いてるように感じました。
音楽のスタイルとしては正統的なオーガニックサウンドを中心にしながらも、より映像や効果音と同化するべく膨大な労力と高度なテクニックを駆使するという方向性は自分にはより先進的に思えます。

SoundWorks Collection - The Sound and Music of The Dark Knight Rises from Michael Coleman on Vimeo.




それとハンス・ジマーは自分が唯一使用しているヴァーチャルシンセ。いわゆるコンピュータのソフトシンセとしてu-heのZebra2をあげているのですが、最近u-heからダークナイトシリーズのためにジマーとサウンドデザイナーのHaward Scarrが作った音全てを含んだプリセットライブラリーとしてThe Dark Zebraがリリースされてます。
Zebraは何を隠そう自分も相当な高頻度で以前から制作に使っております。数年前ですが、Blassreiterというアニメ作品に提供した「Blood Infection」という楽曲ではほとんどの構成音をZebraで作りました。このタイプのソフトシンセはほぼ無制限にエンベロープが書けることで細かい音の揺れや動き、スピード感が出せることが魅力です。



追記
上記で引用してるレクイエム・フォー・ドリームですが作曲者のクリント・マンセルはなんと元Pop will eat itselfのボーカリストでした。もう今や知らない人の方が多いと思いますが、90年代初頭に活躍したデジロックの先駆けで、歌詞の内容や悪ふざけのタイトルのせいでおバカなイメージでとらえられてたバンドです。最近の作品ではブラック・スワンを手がけてますね。何があるかわからんもんです。


立ち上げ

サイトを立ち上げました。
はじめて来られた方は一応Biographyのページを自己紹介代わりにみていただくとして、要するに作曲したり、コンピュータで音の打ち込みをしたり楽器の演奏を録音したりして生計を立てている輩です。「少しこだわりのある町工場」の様な気持ちで仕事しています。
ただし町工場と言えども昨今はただ無骨に製品を作っているだけでは生き残れない時代になってしまったので、この場から色んな事、色んな音などを興味を持っていただけた方にお伝えできればと思います。

他のページはかしこまった作りにしたのでここだけは緩めに、気軽に書いていきます。どうぞお付き合い下さい!ではでは〜。
534420_10150972944879647_1720724053_n.jpg