Takahiro Izutani

2013年1月

レ・ミゼラブルを見てきましたよ。

遅ればせながら現在公開中の映画「レ・ミゼラブル」を見てきました。ミュージカルという事とかなり音楽の分量が多いという程度の事前情報だけで見に行ったのですが、最初から最後までほぼ全編歌いっぱなしでしたので二時間半のミュージックビデオを見たような感覚になりました。

さらにこの映画では役者が自分の芝居のペースとテンポ感で歌ったテイクにあとかぶせでオーケストラをあてており、完全にドライな声にきっちりミックスされたオケがのって同期しており、既存の先録り口パクあわせのミュージカル映画とも舞台のミュージカルとも違うので何とも不思議な感覚になってしまいました。この奇妙な感覚にさせられたせいでストーリーに集中できず「これどうやって同期してんだ?」なんて事ばかり考えながら見るはめになってしまいました。エンドクレジットにStage Pianistという表示があったのでようやく仕掛けがわかったのですが、芝居を見ながらバックステージで伴奏してくれるピアニストの音を役者がイアホンでモニタリングしながら歌い、録音されたピアノをオケに差し替えてるとのことでした。

しかし普通に交わしている会話がずっと歌になっていてさらに三人目の歌が絡んできて最後は三声できれ〜にハモリになったりするとあまりの違和感で笑ってしまいそうになりました。また通常ミュージカル映画では芝居のシーンと歌唱シーンが交互に入り、現実とファンタジー部分をそれぞれ担っていますが、この作品では全てが現実感覚のまま虚構みたいなもので、ある意味「歌で会話する世界」という異次元の話みたいな事にもなってますw 手法が斬新ゆえに見る方の順応力も問われますね。
こっちはメイキングです。役者さんは音聴きながら芝居できるからやりやすかったとのこと。

吉祥寺シアターに行ってきましたよ。

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先日 Newsでお伝えした舞台公演を 吉祥寺シアターに見に行って来ました。
この施設は公益財団法人 武蔵野市文化事業団が運営する文化施設で現代演劇やダンスを中心とした舞台芸術の創造の場として劇場とけいこ場が併設された施設です。以前にこの会場でフラメンコのパフォーマンスを見に行った事がありこの会場の音響の素晴らしさをとても気に入っていました。
今まで自分がミックスまで行ったトラックがそのまま流れる機会はスタジアムやアリーナもしくは小さいライブハウスでしか聴いた事がなく、本格的な音響システムが導入された中規模の劇場で果たしてどう聞こえるのだろうと楽しみにしていました。CD音源のマスターではないのであえてほとんどリミッティングせずにミックスをまとめた楽曲が多く、弦アレンジの曲などは思いっきりダイナミックレンジをとったのですが、ほとんど自宅で聴いていた時の印象そのままで、マスタリングスタジオで聞く様なフラットな音に劇場ならではのアンビエンスを足したような心地良い音でした。
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ここのスピーカーシステムはドイツ d&b audiotechnik社製の Ci-Seriesというものでヨーロッパの劇場などによく採用されているそうです。ベルリンの Berghainでも同様に感じたのですがここも天井が高い会場だということと、壁面には木毛セメント板という畳くらいの大きさの厚さ3センチ位の板をはめ込んである事で(その板の中に塗り込められたリボン状に削られた木の凹凸によって吸音と音の拡散を計算しているそうです)スピーカーの存在を感じさせないナチュラルな音響作りになっていると思いました。生音の響きもとても良かったので演劇に限らずライブ演奏でも良い感じになりそうです。特にアコースティックと打ち込みものやサウンドスケープの共存するようなライブには最適だろうなあと思いました。つーかここでライブやりたいw