Takahiro Izutani

ヨーロッパ・ツアー 1 Rock In Opposition


Happy Family初の海外ショートツアーの一日目はRock In Opposition Festival。フランスのトゥールーズから車でぶっ飛ばして1時間半ほど。アルビとカルモーという街の中間くらいの位置に特設会場と宿泊施設がありました。この場所は鉱山の施設として使われていたそうなのですが、主催者のMichel Bessetさんは二十年ほど前に付近一帯を買い取り、コンサート施設、アスレチックレジャー施設として改装して運営されているそうです。このフェスではアヴァンギャルド系のアーティストばかりがアメリカ、スウェーデン、フランス、ベルギーなど様々な国から集まっていました。お客さんの方も各国から来られてる方が多く、直接話しをしたひとだけでもスペイン、ドイツ、メキシコ、モロッコ、アメリカ、ロシア、チェコなど様々な方がおられました。HFの出演は三日間のプログラムの中で三日目の夕方、機材チェックとサウンドチェックを一時間ほど念入りに行ったあと30分後に一時間のステージをこなしました。ステージ上のモニタリングのし易さとオーディエンスの反応の良さなどもありここ一年ではベストとも言えるライブができました。ライブ後にはプレスカンファレンスも行い、約20人ほどの取材の方を前に活動状況や今後の展望、日本のプログレッシブ・ロック、アヴァンギャルドロックのシーンについて説明させていただきました。今回は演奏すること以上にお客さんやスタッフ、共演者の方々との交流がとても新鮮かつ有意義で、日本のアーティストとしてどういうアティチュードで活動しているのか、日本には他にどんなアーティストがいるのかなども聞かれましたが、このツアーを通じてどの街にいっても必ず日本の政治的な状況、それも原子力行政のことについて聞いてくる人が何人かいました。このRIOの会場では特に質問されることが多く、物販をしている時にあるフランスの老夫婦から質問された際には僕が答えて説明しているうちに周りから興味を持った方が集まってきて、いつの間にか十数人を目の前に演説している様な状況になっていました。昨年Michel Bessetさんが日本に来られた時に「ライブの際に政治について話すことはフランスではごく普通のことだよ」と言われていたことを思い出しました。ヨーロッパではアヴァンギャルドで反商業主義的な音楽家の活動というのは政治的なアティチュードと不可分なんですね。原子力行政の質問をされる際には毎回、日本のエネルギー安全保障、産業コスト、核技術の兵器への技術転用の可能性による軍事的抑止効果、あとはメタンハイドレートなど新資源の可能性について説明しました。質問してきた方の多くは即座に全てを止めるべきという僕とは異なる意見の方だったのですが、それでも日本人と直接意見交換ができたと感謝の言葉をいただきました。全てにおいてヨーロッパの社会、人々の成熟ぶりをズッシリと感じる日でした。


不安だったプレスカンファレンスも何とかこなせました。英語で質問され英語で回答、それをまた司会の方がフランス語に翻訳してアナウンスするという形式でした。

つづく